修学旅行でおなじみ、海外からも注目を集める栃木県の日光。公共交通機関で同地の観光スポット巡りをするなら、基本的に路線バスでの移動になるが、問題は“どのバスに乗れば手堅いか”な気がする。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、東武バス日光YK系統の写真があります)
■日光観光エリアの足を支えるアイコン路線
日光の観光エリアを見学して楽しむなら、電車で行った場合は大抵、JR日光駅か東武日光駅が旅の拠点になるはずだ。
JR日光駅/東武日光駅にはそれぞれ駅前にバス乗り場があり、各方面へ向かうバスが何路線か出ている。
その中で、同エリアを代表するアイコン的な路線と言えそうなのが、恐らく東武バス日光が運行する「YK系統」だろう。
■東武バス日光 YK系統
YK系統は、JR日光駅・東武日光駅〜湯元温泉までの約36kmを結ぶ一般路線バスで、東武バス日光の路線としては走行距離が最も長い。
YK系統が通るルートには、日光駅起点で順番に、日光東照宮をはじめとする社寺→華厳滝と中禅寺湖→竜頭の滝→戦場ヶ原→湯滝→湯ノ湖といった、日光の定番観光スポットが多数含まれており、定番へのアクセスをそれなりに押さえている点がアイコンたる所以。
上記スポットへのアクセスに便利な停留所を書き出すと……
(1)日光東照宮をはじめとする社寺→神橋、安川町、西参道入口
(2)華厳滝と中禅寺湖→中禅寺温泉
(3)竜頭の滝→竜頭の滝
(4)戦場ヶ原→三本松
(5)湯滝→湯滝入口、湖畔前
(6)湯ノ湖→湯ノ湖、湯元温泉
……の要領で対応可能だ。
このほかYK系統と同じく日光駅〜湯元温泉を結ぶが、日光駅から約31km地点の光徳温泉を経由しない「Y系統」と、日光〜中禅寺温泉止まりの「C系統」・「急行」がある。
■後ろのドアは開きません
YK系統は日中おおむね30分おきのダイヤ設定。11mクラスの長い車体を載せた、いすゞ/日野製の大型路線車・エルガ/ブルーリボン系が使われている。
見た目は普通の路線バスとほぼ同じながら、背もたれに白いカバーを被せたハイバックシートを装備しており、高級感に加えて観光色高めの内装が特徴。
2ドアの車両であるが、中扉(後ろのドア)は通常締め切り扱いで開閉せず、前乗り・前降りの運賃後払い方式。交通系ICカードが使える。
締め切り扱いにしているのは、同じ区間に高速バスや観光バス向けの、ハイデッカータイプの1ドア・12m車が入ることがあり、そのタイプと乗り降りの方法を合わせているのが理由の一つに考えられる。
■ド定番、だけど硬派
バスの走る場所柄、車窓からの景色は山系。周囲を豊かな森林に囲まれた山地を進んでいき、バスで通り抜けるだけでも大自然の爽やかさが伝わってくるようで楽しい。
中禅寺湖の周辺に差し掛かると、ごく短い時間だけ水系の要素が加わり、流れゆく風景にアクセントを与えてくれる。
とりわけYK系統に乗車して歯応えを感じるのが、バスのメインルートである国道120号に組み込まれた「いろは坂」。つづら折りのカーブを大型車で巧みにこなしていく走行シーンは圧巻だ。
実はこの路線、始発から終点までの標高差を見ると、日光駅が530mほど、湯元温泉は1,481mで、なんと950m以上ある。
経由する場所は観光スポットとして“ド定番”ながら、YK系統がなかなかどうして硬派な山岳路線の一面を持ち合わせているのに気付かされる。
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