■「よく見える」わけではないのが深視力!?
深視力検査は「遠くの物がよく見える」という類の検査ではなく、奥行きを立体的に見て距離感が正しくつかめているかを確認する検査だ。
よって視力1.5の人が有利というわけではなく、立体視ができるかどうかが重要になる。左右の目でものを見ると対称ではないため、異なる像を脳で1つに結ぶ際に立体的に見え、これにより距離感をつかむ。
草食動物は肉食獣をいち早く発見し逃げるために目は左右離れたところに付いている。これにより視野は広くなり捕食者の発見を容易にする代わりに立体視はできなくなる。
一方で肉食動物は狩りの対象との距離が重要で、追いかけて捕食できるかどうかは距離感を頼りにする。そこで肉食動物は前に目が付いていて視野は狭いが同じものを両眼で見て、その位相で距離をつかみ走るかどうかを決めている。
左右の耳で聞くステレオ音響は立体的に聞こえるのに似ているが、それをやるのが深視力検査だ。
■真ん中の棒を狙え!
深視力検査を行う機械を両眼でのぞくと、3本の棒が立っている。左右の棒は固定されているが、真ん中の棒が前後に動いている。つまり自分の方に向かってきたり遠ざかったりしている。これは停止しないので常時動いている。
そして左右の固定棒と真ん中の動く棒が一直線に並んだと思ったときにボタンを押す。これを連続3回繰り返す。もし1回目が近づいているときに押したならば2回目は遠ざかるとき、3回目は再び近づいているときになる。どちらからスタートしても構わないが3回連続で行わなければならない。
合格基準は、3回の誤差の合計が2㎝以内となかなか厳しい。1回でも見送ってしまうと最初からやり直しだ。年齢や能力による差もあるだろうが、ゴールド免許の場合は最長5年ぶりに行う検査なので、緊張もあり試験場ではつまずいている人を見かける。
■目も脳も疲れさせないこと
実際には目の疲れもあるので、試験場では警察官から「目が疲れてませんか?ちょっと目を休ませて後でもう一度来てください」と、書類を返され休息を勧められる「温情」をかけてくれる場合が多いが、それでも合格できないと残念ながら免許取り消しになってしまう。
お仕事で免許を使う方にとっては死活問題だ。そして下位免許の視力基準に合格していれば、当該下位免許は与えられるが、大型二種免許を持っていても下位基準となると普通一種免許になってしまう。
二種免許は普通でも大型でも同じ基準だからだ。意外な落とし穴になっている上位免許の視力検査だが、矯正視力の方もそうでない方も、ご自身の目をいたわって更新の際には慌てず焦らず十分に休養を取って挑んでいただきたい。
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