以前にアルバイトでバス運転士ができるのかという記事を書いたが、バスマガジン本誌読者の反響が大きかったことから、一例として取り上げたフジエクスプレスに実際にバイトで運転士はできるのかどうかについて取材を申し込んだ。本稿は「習熟運転の部」である。
文:古川智規(バスマガジン編集部)・写真:浅野史歩(フジエクスプレス)
取材協力:フジエクスプレス・富士急行
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■豪華山盛りランチ!
バスの運転はまだほとんどしていないが、いろいろと緊張感あふれることをしていればお腹もすく。同社東京営業所内には食堂があり、500円でランチを取ることができる。これがまた豪華で、回数券だと1枚当たり400円らしいのだが、ものすごい種類のおかずに度肝を抜かれる。
ご飯はお代わりしていいということだったが、おかずが多すぎてご飯どころではない。しかも数種類あるお漬物も取り放題らしいが、このおかずで漬物が必要かと感じたくらいだ。
運転士という立ち仕事ではないが、常に緊張と刻々と変化する交通に合わせてバスを操り、多くの乗客の命を預かる仕事なのだから、腹も減るだろうことは容易に察しが付く。
美味しくてたくさんのランチを食べ終わると午後の教習に向けて休息をとる。ちなみに、広報担当の女性社員はこのランチを食べるのに1時間はかかるそうだ。
■習熟運転
午後はいよいよ路上に出て運転を行う。まずは出庫するわけだが、朝ラッシュを終えたバスが戻ってきていて、構内に駐車してある。それを縫うようにして出口まで進み路上に出るわけだ。
今回運転したのはちぃばすの田町ルートで使用されている日野レインボーだ。多くの路線で使用されているコミュニティバスの主力である日野ポンチョではなく、9mの中型路線車だ。
同社にはAT車しかないので、クラッチ操作は不要だ。しかしAT車は車両ごとのクセが出やすいのも事実で、アクセルワークやブレーキの効き具合を確認しながら、おっかなびっくりで路上に出た。
習熟運転では単純に幹線道路を走るだけである。よって停留所に停車することもドア扱いも放送もない。文字通り転がすだけだ。教官の指示通りの経路で芝浦地区を2周半ほどする。
慣れの問題だが、アクセルを踏み込み過ぎるクセがあるのと、減速時にポンピングブレーキは不要であること、左に寄りすぎる傾向があるとの指摘を受けた。これらの指摘をもとに順次自分の運転を修正していく。
■ガイドさん動く!
記者が運転しているバスに乗車しているのは教官とカメラマン役のバスガイドの浅野史歩さんだけだ。ガイドさんはいい写真を撮ろうと教官に断ったうえで、運賃箱の真横まで来て撮影をしている。
そこはプロのバスガイドなので視界の邪魔にはならない位置取りをしているのはさすがだ。しかし立席かつ両手で業務用の重量級一眼レフカメラを構えてシャッターを切っている。まるでスマホをいじって手ぶらで立っている若い女性と同じシチュエーションだ。勢い、ブレーキ操作も慎重になる。ガイドさんに傷を付けるわけにはいかないのだ。
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