候補4:南信自動車(1910年)
明治43(1910)年、長野県の飯田〜伊奈間49kmで営業を開始。クレメントバイヤー又はロイドの車が使われ、運賃は1円10銭であった。
南信自動車はなんと現在の信南交通のルーツとなっており、今もバス路線があれば、開業時から一本道で繋がるという意味で、いよいよ最古クラスの登場か!?
さっそく現状を飯田駅〜伊那市駅に置き換えて調査してみると…残念ながらバス路線が今は存在しないようだ。
候補5:下田自動車(1916年)
大正5(1916)年に静岡県の下田〜天城峠〜大仁間で営業を開始した路線バス。大正12(1923)年の鉄道時刻表に掲載された同社の広告によると、1日4便・所要時間約3時間、運賃は通しで6円30銭とある。
下田自動車は昭和7(1932)年に東海自動車と合併して今日の東海バスに至るため、開業当時からの流れを組む条件はクリアする。
では同等のバス路線が現存するだろうか? 現在は乗り換えが必要で、やや経路が異なるものの…
東海バスS20系統で下田駅→河津駅
C50系統河津駅→天城峠→修善寺駅
C80系統修善寺駅→大仁駅前
…と、東海バスのみで到達でき、ルートの中でもメインの区間である天城峠越えも行える。
バスがうまく繋がった場合の所要時間は下田発で約4時間(100年以上前のほうが早く着けたらしい)、運賃は2,740円となっている。
開業当初の事業者をルーツに持つ会社の路線バスに乗って、昔と同等の始点から終点まで、大体同じ経路を通って向かえるという意味では、この東海バスの路線が最古クラスである可能性が極めて高い。
また、大正6(1917)年に当時の伊東自動車(のちの東海バス)が開業した大仁〜亀石峠〜伊東間の路線も、現在は亀石峠止まりとなっているが、東海バスC80系統がよく似たルートで運行されている。
日本全国バス路線のうち最古はどこか…事業者の歴史的な繋がりを気にしなければ、路線バスの元祖・二井商会の乗合自動車線、現在まで同じ流れを組むバス事業者が運行している路線なら、東海バスの天城峠越えルートが最有力と見られる。
今や誰も見たことがない時代となったバスの黎明期はもちろん、過去に経験した懐かしいバス風景を想像しながら、ゆっくり路線バスに揺られるのもロマンや旅情を掻き立てられて楽しいものだ。
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