最近は鉄道だけでなくバスの世界でも多言語案内が進んでいる。ところが鉄道の駅名には統一感があるものの、バスの停留所名の表記は事業者によりまちまちだ。どちらが正しいのかは利用者の判断による。パターンを探ってみた。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
駅名は固有名詞……なのか?
鉄道の駅名を英文表記する際には、固有名詞としてそのままローマ字表記するのが一般的だ。ただし最近増えてきた外来語が駅名の一部になっている場合は当該外国語は英語表記するようだ。
例えば高輪ゲートウェイ駅は「高輪」はTakanawaと地名の固有名詞としてローマ字で書き、ゲートウェイは外来語なのでGatewayと英語表記する。新大阪駅は新しい、または新幹線の大阪駅という意味合いで命名されたが、決してNew Osakaとは表記しない。駅名すべてが固有名名詞だからだ。
バスの場合はどうだろうか。これは事業者の考え方により異なるようだ。例えばランドマークに近い停留所に「~入口」というパターンは多いが、これを「~Iriguchi」とローマ字で表記するのか「~Entrance」と表記するのかはまちまちだ。
外国人には英語表記はわかりやすい?
これら表記方法には揺らぎがあるようで、固有名詞としてそのままローマ字表記する事業者でも、「~駅」はStationと表記することがほとんどだ。これは逆に「~Eki」と書く方がわかりにくいだろうから、みんなが納得する表記法だ。これはバスターミナルやバスセンターについても同様だろう。
問題なのはローカルなバス停だ。先述の入口をEntranceと書いてしまうと、そのバス停の英文名称がそのようになってしまう。確かに英語で理解するにはこの方がランドマークの付近だということが理解できるのでいいのかもしれない。
日本人に聞くときに困ることに…
ところが、英文表記を正式なバス停名として日本人に聞くときに「~エントランスにはどのバスに乗ったらいいですか?」と聞かれても、普段は「~入口」として利用している日本人にとっては英語の意味が分からなければ全く違う停留所名に聞こえ、案内ができないことになる。
意味をそのまま英訳した、まさに新大阪を「New Osaka」のように訳したバス停名もあり、気持ちはわかるのだがさすがにこれでは外国人が自身で理解して乗車しないと無理だろうと思う場合もある。
東京に多い数字を冠した学校名、例えば「~三中」(地名+第三中学校のような名称)という停留所名を「3rd junior high school」とした事例だ。第三中学校がある場所だというのは外国人にはよくわかる。
しかし付近の日本人に「このバスは3rd junior high schoolに行きますか?」と聞いてもなかなか難しそうだ。
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