■重宝された車種の今後
もうひとつ、近年選択肢が狭まった車種として、路線タイプの前扉スタンダードデッカー(ツーステップ)が挙げられる。各メーカーの路線バスモデルの中に自家用タイプとして用意されていたこのシリーズが、現在の路線バスのカタログからは消えてしまった。
このタイプは自家用としてだけでなく、学校や企業の送迎などの契約貸切や特定バスとして、また県内クラスの比較的距離の短い高速バスとしても重宝されてきた。西鉄や名鉄、中国JRバスなどで高速バスとして活躍する姿をご覧になった方も多いと思う。
“高出力版”というあたりが環境対応になじまない面はあるだろうが、これがなくなったことで中型の日野メルファに替えられるところはよいが、輸送力が必要であれば無理してノンステップのエルガを前扉で導入、高速バスでは路線に見合った廉価という魅力を諦め、普通のセレガハイデッカーなどに移行する動きとなっている。
メーカーも事業者も厳しさを増す今後に向け、それぞれの事情を理解することは必要だが、利用者ニーズや地域性を反映して適切な車種・仕様を選び配置することは、バス業界の発展のためには必要なことだと考えられる。
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