路線バスの「共同運行」って一体何? 知られざるルールとカラクリが衝撃

路線バスの「共同運行」って一体何? 知られざるルールとカラクリが衝撃

 全国色々な場所の路線バスを利用するとき、「共同運行」と書かれた路線をたまに見かける。この共同運行というのは、どんなカラクリで生まれるのだろうか。

文・写真:中山修一

■厳しいルールも!! 意外と知らない共同運行の真相

東急バス「東98」系統。2013年まで都営バスとの共同運行を行っていた
東急バス「東98」系統。2013年まで都営バスとの共同運行を行っていた

 まず、第一に「共同運行」とはどんなものか……基本的には、2社以上のバス事業者がそれぞれ同じ路線でバスを走らせることを指す。

 運行路線は異なるが複数の事業者で業務提携している場合は「共同経営」とも言う。

 各事業者が同じ路線で好き勝手にバスを走らせるのは「競争」になってしまうので、共同運行では不公平にならないよう関係各位で擦り合わせを行っているのが特徴だ。

 より具体的に言うと、共通のバス停を使っており、各事業者の運行便を1枚の時刻表にまとめて掲載、同じ定期券が利用できるバス路線なら、大抵は共同運行になっているはずだ。

 実はこの共同運行、営業路線を持っているバス事業者であれば誰もが自由に始めて良いわけではなく、法律で細かく規定されている。特に密接な関係にあるのが独占禁止法だ。

 少し細かい箇所まで知りたければ、共同運行にまつわる条文をコピペすれば一目瞭然かと思いきや、条文とは回りくどいのが常。

 原文を読んでも何だかよく分からないまま終わってしまう可能性が高いということで、なるべく要点だけ押さえて紐解いていきたい。

■共同運行でやっちゃダメなこと

 一般路線バスで共同運行(共同経営)を始めるにあたり、これをやると独禁法に触れるかも!? のようなケースを集めてみたところ、まず第一に、共同運行をするバス事業者同士だけで擦り合わせをしてはいけない、というものがある。

 共同運行をする事業者にA社とB社があったとして、例えばA社のほうが体力面で勝る場合、当事者だけで取り決めを行うと、B社が不利になる条件を飲まされる可能性が出てくる。

 そういったバス事業者間でのトラブルが起きないよう、共同運行のバス路線がある地域の地方自治体を挟んで協議を進めるのが原則となっている。

共同運行路線の案内。状況によっては共同運行でも事業者ごとに運賃が異なる場合も
共同運行路線の案内。状況によっては共同運行でも事業者ごとに運賃が異なる場合も

 次に、A社とB社が共同運行している各バス路線で得た運賃収入を一定の場所にプールして、各社のバスが運行した回数をもとに計算して分配するのもNGとされている。

 ただし、運行回数ではなく実際の利用者の数をもとにしての分配は問題ないようだ。

 濡れ手で粟なバス路線で共同運行するのも自然な形とは言えない。手放しで儲かる路線で共同運行=既存の事業者だけで囲い込みを図ることになりかねず、新規参入を阻んでしまう可能性があるためだ。

次ページは : ■難しい時代だからこそフレキシブルに?

最新号

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

バスマガジン Vol.126は9月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、東急バスを特集。東京都から神奈川県において都市部から住宅地、田園地帯まで広いエリアを綿密なネットワークを展開、さらに高速路線バスやエアポートリムジンも大活躍。地域住民の足としてはもちろん、首都圏の動脈ともいえる重要な存在だ。  続く特集は、ついに日本に上陸しさらに種子島での運行が決まった、ヒョンデの電気バス[ELEC CITY TOWN]の試乗インプレッション。日本におけるヒョンデの本拠地である横浜・みなとみらい地区で、徹底的にその性能を確認した。  バスの周辺パーツやシステムを紹介する[バス用品探訪]では、なんと排出ガスからほぼ煤が出なくなるというエンジンオイルを紹介。この画期的な商品「出光アッシュフリー」について、出光で話わ聞いてきた。  そして後半カラー特集では、本誌で毎号、その動向、性能を追跡取材してきた「カルサンe-JEST」。このトルコ製小型電気バスがついに、運行デビューを果たした。その地は長野県伊那市と栃木県那須塩原市。今後の活躍が期待される出発式を紹介する。