のんびりローカルから年中忙しいものまで、バス路線の性質は様々。特に後者を「ドル箱路線」と呼んだりするが、儲かれば儲かるほどバスの本数も桁違いに増えるのだろうか。いま発売中の最新刊、バスマガジンvol.120の巻頭で特集している横浜市交通局を例に検証してみる。
文・写真:中山修一
■横浜市営バスのデータでドル箱を探る!!
どのバス路線がドル箱にあたるかを確かめるには、その事業者の収支データを参考にするのが早い。なかでも収支報告を毎年公表している公営事業者なら簡単に情報が入手できるということで、ここでは横浜市交通局を例にした。
令和3年度(2021年4月〜2022年3月)のデータをもとに、まずは100円の利益を上げるのに、幾らの経費が必要かを示す「営業係数」ベースでドル箱路線を探ってみた。営業係数99以下の路線が対象になる。
最も数値が低かったのは、鶴ヶ峰駅南口〜くぬぎ台団地を結ぶ、市営バス75系統で係数57.7という抜群の好成績を収めた路線だ。
ところが75系統は2021年10月に市営バスとしての運行を取りやめ、その後相鉄バスが同じ区間を受け持つようになった。
2023年時点では市営バスの路線としてはノーカウントになってしまうが、参考までに現在の相鉄バスのダイヤでは、6〜23時台まで平日1日片道83本ある。
■営業係数でのドル箱路線は?
現役の路線で営業係数が最も低いのは、係数62.5の実績を持つ、鶴見駅前〜ヨコハマアイランドガーデン間の128系統だった。停留所の数は8箇所、所要時間10分ほどの短距離路線だ。
片道の本数(以下同)で見ると1日平日53本。朝と夕の通勤通学時間帯だけ1時間に5〜6本、それ以外の昼間は30分おきの設定になっている。
2位は上永谷駅前〜港南台駅前間の45系統で、係数78.8。13箇所の停留所があり、全区間を25分ほどかけて走る。こちらは平日1日67本あり、朝が1時間5〜6本、昼間は1時間に4本だ。
3位は東戸塚駅前〜東戸塚駅前の循環バス214系統の係数78.9。1周25分くらいで、6〜22時台までの便が設定されている。平日1日20本のうち朝は1時間2〜3本、8時台からは1時間1本になる。
コメント
コメントの使い方