バスターミナルの設置場所にビルの下が選ばれることがある。そんなバスターミナルのビルにはどんな種類の施設が入っていて、全国的に法則性はあるのだろうか。
文・写真:中山修一
■魅惑のビル下バスターミナル
まず、法律的に見て“純粋な”バスターミナルの定義をおさらいすると…
(1)同じ敷地内に2つ以上の乗降場所が置かれている
(2)一般車進入禁止
…この2点が基本条件と言える。今回注目するのは、高くても10階建てくらいまでの、敷地面積が相応に広いビルの1階部分のスペースをバス乗り場に活用しているターミナルだ。
ビルの真下をくり抜いて、バスの通り道+発着プラットホームを設置したものと、ビルから若干オフセットしているが、バスターミナル部分の全体を覆う屋根などが、ビルの一部に組み込まれているタイプがある。
いずれも複数のバス発着レーンが設けられ、一般車は入れないのが全国的に普通であるため、大抵のビル下ターミナルは“純粋な”バスターミナルに分類できる。
若干離れた位置からビルを観察すると、到着するバスが建物の中に吸い込まれるようにして入っていく様子が、まるで昔の映画に出てきそうな秘密基地を連想させる。そんなレトロSFチックな格好良さがビル下バスターミナル最大の特徴にして魅力だ。
■ビル本体の部分には何が?
プラットホームが2本以上並んでいる場合、階段やエスカレーター等を使って一旦地下あるいは2階に出て、プラットホーム間を移動する構造が主流になっている。横断歩道で渡るタイプもなくはない。
さらに、プラットホームの隣に待合所や売店、バスのチケット売り場、トイレなどが一緒に置かれている場所もある。
総じて1階部分はバス関係の設備で固めていると言えそうだが、ではビルの2階より上には何があるのだろうか。
全国の主なビル下バスターミナルの建物に入っているテナントの種類を簡単にチェックしてみたところ、以下のようになっていた。
・大谷地バスターミナル(北海道) → マンション
・新札幌駅バスターミナル(北海道) → ショッピングモール、ホテル
・山交ビルバスターミナル(山形県) → 複合商業施設
・横浜駅東口バスターミナル(神奈川県) → 百貨店
・新静岡バスターミナル(静岡県) → 複合商業施設
・長崎新地ターミナル/新地中華街(長崎県) → バス事業者本社、スーパー、複合商業施設
・苫小牧バスターミナル(北海道・2015年11月廃止) → 駐車場
・札幌駅バスターミナル(北海道・2023年8月休止) → 複合商業施設
ビルに一般住居や企業のオフィスが入るのは比較的少数派で、何かしらの商品を販売する施設として使われるのが定番のようだ。
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