■バス事業者不在の調整不足感
北海道は他のバス会社に協力を求め、タクシー等バス以外の交通機関への転換を模索する考えのようだが、おそらく無理だろう。他のバス会社でも状況は同じだろうし、タクシー会社はもっと困難に違いない。ここから見えてくるのは、バス事業者不在のまま転換協議が行われていたのだろうかということだ。
昔なら補助金さえ出せば運行はしてもらえたのだろう。しかし現在では物理的に運転する人がいない中でバスを何百台購入しようとも無理なものは無理と言うしかないバス事業者の無念さも理解できるが、何も考えてこなかった行政の責任は大きい。
■鉄道のバス転換はデフォルトではなくなる
このような事例が出てきたことから、鉄道路線の廃止問題はそれぞれで協議をするのだろうが、その後の話として安易にバス転換前提で話を進めると、最後の最後に「そんなダイヤは組めません!」と言われて最初からやり直しとなる事例が出てきそうだ。
鉄道軌道という「専用線」を活用してバスだけが通行できる専用道にしてなおかつ当該区間だけを運行する無人自動運転バスでしか対応できない日が来るだろう。
一般道路を無人でバスが運行するには技術的課題はともかく、まだ時速15~20kmなので遠い先の話だ。しかし全線立体交差で専用道路完結であれば現在の技術でも十分に実用の速度を出せる可能性が高い。
安易なバス転換という前提を改めなければ、鉄道もろとも交通機関がない原野が広がることにもなりかねない。もっとも根本的な解決策は運転士のなり手を増やすことだが、いまだに制度的な見直しも含めて具体的に動く気配はない。
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