最近は赤字鉄道路線の廃止や新幹線の並行在来線廃止による代替交通機関がちょっと困ったことになってきているのが、徐々にニュースにも登場し始めている。もはや鉄道の後釜をバスに頼ることはできない状況になっている。詳細を見てみよう。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(写真はすべてイメージで本文とは関係ありません)
■鉄道廃止の後釜はバスと相場は決まっていた
昔から鉄道路線廃止の代替交通機関はバス転換と相場が決まっていた。近年では国鉄が分割民営化してJRとして再スタートする際に極端に赤字の路線を廃止してJR新会社の負担を軽減しようとした時だ。
当時は営業係数という数字が独り歩きして、国民に「こりゃダメだ」と思わせることに成功した。営業係数とは100円の収益を上げるのにいくらの経費がかかるかという指数で、100を超えれば赤字とわかりやすかった。
実際の選定には現在よくニュースに登場する輸送密度が指標として使用されたが、国鉄末期からJR化後しばらくは赤字ローカル線は次々に廃止されていった。
その際の代替交通機関として用意されたのは第三セクターによる鉄道引き継ぎ、バス転換が主なものだった。そもそも大赤字でどうすることもできないので、ほとんどがバス転換となったが当時はバス会社にも体力があり補助金で細々と代替バスを運行していたが、現在まで残っている路線の方が少ない。
■新幹線の並行在来線
次に問題となったのが、新しく開業した新幹線の並行在来線である。東海道・山陽新幹線のように並行する在来線も大幹線である線区以外は、新幹線を開業したけど在来線はお荷物という場合がほとんどで、在来線は幹線ではあるがJRからは切り離され、大半が第三セクター鉄道会社として存続した。新幹線開業に伴う在来線の廃止は信越本線の碓氷峠区間だけである。
ところが、北海道新幹線の新函館北斗~札幌間の一部は、曲折を経て廃止バス転換または貨物専用線として第三セクターで線路は残し、旅客はバス転換という方向になりそうだ。
■バス事業者が難色
これまでのローカル線や並行在来線の廃止に伴うバス転換には表立ってバス事業者がモノ申すことはなかったし、協議には加わっていたのかもしれないが、それがニュースになることもなかった。
ところが、北海道新幹線の並行在来線に関してはあまりにも距離が長く、簡単にバス転換といっても現状ではそんな体力がないことはだれの目にも明らかだった。
北海道がバス事業者に代替バスのダイヤ案を示したところバス事業者から難色を示されたのだ。現状の運転士不足は何も地方だけではなく首都圏でも問題になっていて毎日何らかの減便ニュースが流れる中で、これがわからなかったはずはない。
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