■インバウンド効果を見せつける!?
どんな乗りバス旅が楽しめるのか、実際利用して確かめてみることにした。箱根登山バスH系統「箱根町港」行きと、伊豆箱根バス「箱根関所跡」行きのどちらを利用しても着く場所はほぼ同じだ。
両者とも昼間は30分おきに出ている。当日は先に出発する伊豆箱根バスZ系統に乗車した。小田原駅の停留所で思ったのが、共同運行ではなく競合関係にある点。現在はインバウンド利用もすっかり元通りといった感じで、最初から席が全部埋まるくらい盛況だ。
どちらかと言えば、登山電車やケーブルカーにも乗れるフリーパスが使える、箱根登山バスの利用率がインバウンド的には高めの様子。途中で通った箱根湯本駅前のバス乗り場は、さながら巨大テーマパークの超人気アトラクション待ちのようだった。
このバスの醍醐味はやはり、箱根湯本駅を通過したあたりから。急勾配の連続ヘアピンカーブに差し掛かると、一般路線バスとは思えないほど走りが凶暴になる。
■大型路線車が本気を出すとき
当日やってきた伊豆箱根バスZ系統の車両は、2006年式の日産ディーゼル スペースランナー+西工96MC車体。今やちょっと懐かしい車種になりつつあるが、山を走るバスであるためか、ややパワフルな300馬力のディーゼルターボ車だ。
大型車にこんな急坂走らせるなよ、のような弱々しい挙動など微塵も見せず、ことあるごとにターボが唸り、背中をグイグイ押すように力強く山を登っていく感触は、このバス路線ならではの感動的な味わいと言える。
通常の所要時間約50分のところを、この日は道路渋滞があったのと、利用者が非常に多かったため、小田原駅から芦ノ湖湖畔にある元箱根港バス停まで、1時間13分ほどかけて到達。運賃は1,340円だ。車窓の景色や乗り味等々、乗り終えた後で得られた満足感はなかなかのものだった。
国道1号線は延長が長いため、そこを走る路線バスはもっとあるハズだが、最初に思い浮かんだこのH系統とZ系統ほどユニークな性質を持った路線が、ほかにあるのかどうかも気になるところだ。
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