路線バスなどでは、どこのバスだか一目で分かるよう、カラーリングを工夫したり、車体に社名を記したりするほか、実在/架空を問わず、何かしらの“動物”をモチーフにしたマークを添えてブランドを誇る事業者がある。そういったバスマークには、どんな種類の動物が起用されているだろうか?
文・写真:中山修一
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■全国に分布〜ツバメ〜
離島を除いた全国各地に“分布”する、動物系バスマークの代表格といえばツバメかもしれない。JRバス各社が保有しているバス車両の多くに、ツバメのマークが添えられている。
このツバメが誕生したのは、JRの前身である日本国有鉄道が運行していた国鉄バスの時代。当時国鉄バスのシンボルマークを検討するにあたり採用されたのが、国鉄を象徴する鳥として戦前から起用されていたツバメだった。
1950年10月に最初のデザインが発表され、順次バス車両に取り付けられていった。国鉄バスのツバメマークは立体的なエンブレムであったが、1980年代の後半に入ると車体に直接描いたイラストに変わり、JR化後も引き継がれ今日に至る。
現在のバスに飾られたツバメマークは、西日本JRバスを除き、ほぼ共通のデザインになっているが、目玉の有無やシルエットの硬さなど、各地で細かな違いがあって楽しい。
■マークさえあれば一目瞭然!?〜鹿〜
鹿がいる観光地は各地に点在しているにせよ、特に鹿要素が濃い場所と言えば奈良県だ。同県と鹿の関係は大変深いもので、奈良時代に遡ると、鹿は神様の使いとして崇められていた、とされる。
とりわけ奈良公園にいる鹿は、独自の強いブランド力を持っている印象を受けるが、「ナラジカ」のような固有の種類はおらず、日本に広く分布するニホンジカの仲間にあたる。
奈良県内を中心に路線バス等を運行している奈良交通のバス車両には、ご当地感を盛り上げる鹿のマークが描かれている。鹿が跳ねた瞬間をシンボライズ化した奈良交通の鹿マークは、1972年7月13日から使われ始めた。
この鹿マークは、一般路線バスをはじめ高速バスや貸切バスを含めた、小型から大型まで、一部ラッピング車を除いた同社のほとんどの車両に、社名表記と一緒に描かれている。
車両のみならず、一般路線バスの停留所標識に添えられたバスピクトや、車内座席の枕カバーにまで鹿マークが付いているほどで、文字を読まなくてもどこのバスだか分かるほど、パワフルなアイデンティティを感じる。
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