■1メーカー1車種のみ!! 日本の燃料電池バス
日本国内で使われているバス車両に限定して注目すると、普通のディーゼルエンジン車を除いたエコ系車両には、ハイブリッド、EV、燃料電池車の3種類がある。
最近のバス車両メーカーといえば、いすゞ、日野、三菱ふそうのイメージを抱くが、燃料電池車を製造しているのは意外にもトヨタである。2018年に発売された「Sky、Ocean、River、Air」の頭文字を取った、「SORA」のペットネームを持つ1台だ。
全長10.5m・79人乗り。寸法と車内設備は一般的な大型路線車とほぼ同じ。屋根に水素タンクが載っており、タンクまでボディ一体型のカバーで覆われているため、他の路線車と比べ長身で大柄に見える車体が特徴。
ボディに「FUEL CELL BUS」と明記して、すぐに区別がつけられるカラースキームになっている場合が多い。
トヨタは1974年に大型バス車両の製造から一度撤退しているため、マイクロバスを除けば同社がバス車両を手がけたのは44年ぶりだった、ということになる。また、改造車や実験用ではない日本市場向けの燃料電池バスは、現段階でSORAしかない。
1回の水素充填でおよそ200km走行でき、水素の最充填は15分程度で完了する。1台あたりのお値段は約1億円。バス車両としても超高額商品であるが、国から本体価格に対して半額程度の補助金が出る。
■わりと各地で走ってます
2023年のデータを元にすると、SORAの累計導入台数は120台ほど。東京都、神奈川県、埼玉県、愛知県、兵庫県、大阪府、和歌山県、徳島県などを拠点にする各バス事業者で使われている。都営バス所属が最も多く、令和4年度の車両台帳ベースで73台だ。
抜きん出て都営バスの導入数が多いのは、先の東京オリンピックに合わせる計画があったためだ。
都営バスを除いた各地の事業者の導入実績を軽く確認したところ、1事業者あたり1〜3台くらいがポピュラーな単位。運用形態は一般路線バスのほか、スクールバスなど送迎目的で使用している場所もある。
現在はバッテリーの電力のみで走るEVと動向がよく似ており、燃料電池車も営業運転デビューは既に果たしているが、まだまだ少数派に留まっている。水素の充填設備が必要になるのと、車両本体が非常に高価であるのも課題に思える。
これからエコ系なバス車両がどのようにコマを進めていくか、覇権を握るのはどの方式か、引き続き注目していきたい。
【画像ギャラリー】トヨタが作った大型バス「SORA」(5枚)画像ギャラリー
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