■船長の権限ってそんなにすごいの?
洋上の船はバスとは違い110番しても119番しても数分でパトカーや救急車が助けに来てはくれない。よって自己完結で解決しなければならない特殊性がることはお断りしておく。そのうえで、船長の強大な権限を参考までにお伝えする。海の警察官は海上保安官だがそれでもすぐに駆け付けてくれるわけではないので、それまでは船長が対処しなければならないからだ。
「船長は、海員を指揮監督し、かつ船内にある者に対し、自己の職務を行うのに必要な命令をすることができる。」ので、船員はもちろん搭乗客に対しても必要な命令をする権限が法律で定められている。
「船長は、海員が船内にある者の生命、身体又は船舶に危害を及ぼすような行為をしようとする海員に対し、その危害を避けるのに必要な処置をすることができる。必要があると認めるときは、旅客その他船内にある者に対しても、これらの処置をすることができる。」ので、危険な船員や乗客に対して「必要な処置」ができるのだ。必要な処置とは合理的に考えて必要な処置なので閉鎖空間である船舶内で出来ることはすべてだ。
■ここ試験に出ます!
試験に出るとはいっても海事代理士の試験のことだが、民間人である船長に対して強烈な権限が法律で付与されている。すなわち、「遠洋区域、近海区域又は沿海区域を航行する総トン数20トン以上の船舶の船長は、船内における犯罪につき、司法警察員として、犯罪の捜査、犯人の逮捕などの行為を行う。」となっている。
つまり船長は以前に紹介した国家公務員たる国鉄職員の鉄道公安官同様に警察官としての権限が付与されているのである。
また役所の代理としても機能していて、船内で死亡したものがあれば水葬に付すこともできるし、死亡だけではなく出生があったときには役所の戸籍吏員として職務を行うので、日本船籍で両親の一方が日本人であれば、日本は血統主義をとるので船長が日本国籍を証明してくれる。
さらに船長は立会人を同席させて船内にあるものの遺言書の作成もできる。というように、広大かつ強力な権限が与えられている。船長の最大の責務は「出港したら必ず入港すること」なので、遭難を防止するためにはあらゆる手立てが認められているのだ。
■バス運転士にも強い権限を!
バスの運転士にここまでは必要ないにせよ、出庫したら入庫するのが責務なのは当然なので、せめて航空機の機長くらいにカスハラ客に対して命令書を交付しまたは拘束し、もしくは警察官に引き渡すくらいの法律の裏付けある権限は付与しても構わないだろう。
おそらく運転士が大きな権限を持って困るのはカスハラ客だけのはずだ。力のある国会議員にコネクションのある読者はぜひとも通常国会とは言わないが、議論の俎上にあがるように提案していただきたい。
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