■物凄く極端な路線バス事情
続いて、電車以外の公共交通機関はどうなっているか。タクシーはもとより、路線バスの存在が気になるところ。
電車ならルートを選べる上、10分おきに出ている潤沢さなのだから、新横浜駅〜横浜駅を結ぶ路線バスも多数用意されているのでは? と期待したくなる。
新横浜駅前にはバスターミナルがあり、高速バス、空港連絡バス、一般路線バスと、それなりの数が発着している。
そんな中、新横浜駅〜横浜駅直通バスの実態にクローズアップしてみると……!? なんと、1路線のみだ。
■新横随一のレア路線
たった1つしかない直通バス……相鉄バスが運行する「浜1系統」がそれだ。このバスは新横浜駅〜横浜駅西口を結ぶ一般路線となっている。
新横浜駅前バスターミナルには、東急バス、横浜市営バス、臨港バスの路線系統が、それぞれ複数乗り入れている。
それに対して相鉄バスは「浜1系統」だけしか出入りしていないため、新横ではローンウルフなバス会社として希少な存在だ。
しかし、例え直通バスが1路線しかなくても、本数がたくさんあれば電車と同様“潤沢”と言って良い。
では「浜1系統」のダイヤがどうなっているか蓋を開けてみると、1日6本! 2〜3時間おきに1本来る、紛うことなき都会のローカル線だ。
■間を取り持つ生活路線
そんな浜1系統、どんなバスなのか。様子を見に行った当日、新横浜駅での乗車時に終点まで行きたい旨を運転手さんに伝えたところ、「は?」と返されてしまったのを踏まえると、全区間利用する人はあまりいないのかも。
新横浜駅を出発すると、一旦横浜とは逆方向に進む形で、横浜線の新横浜駅隣にある小机駅に立ち寄る。
その後は住宅地の続く、やや狭めな道を巧みに通り抜けていき、鉄道が通っていないエリアを経由しながら横浜方面へと南下していくルートだ。
新横浜駅出発時点で10名ほどお客さんが乗っていたが、その後乗り降りを繰り返すうちに少しずつ増えていき、5.5km進んだ「西菅田団地」バス停に着く頃には立席が出始めた。
最終的には立席でもちょっと厳しいほど乗車があり、浜1系統はどちらかといえば新横浜〜横浜への直通移動のためではなく、途中に通る鉄道のない住宅地と主要駅とのアクセスを主軸に置いた、生活路線の様相が強めな印象を持った。
■距離と時間に圧倒
JR線の7.9km、市営地下鉄の7kmに対して、浜1系統は大回りする関係で12.2kmにまで延び、都会のバスとしては割と長い距離を走る。
それもあって、電車を使うと12〜3分で行ける新横浜〜横浜間であるが、浜1系統を使った場合の所要時間は55分と、他種交通と比較してはいけない路線バスならではのボリューム。
横浜市内で一般的な、前乗り・中降りの運賃前払い制は浜1系統も同様で、最後まで乗っても均一料金の240円だ。
240円というプライスは、交通系ICカード利用時の横浜線の178円より高く、市営地下鉄の242円よりも安い。
ともあれ電車の充実感に比べて、直通路線バスが極端なまでにレアだったとは、意外の先に待っていた意外である。
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