富士急行といえば山梨県の会社で鉄道やバス事業の他に富士急ハイランド等の施設も運営している企業だ。その富士急が箱根や熱海にも本格的に手を出したらしい。何をはじめたのかを取材したのでレポートする。1日目は箱根と十国峠だ。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■全部1日で回るのは大変なので…
富士急行の施設取材はメディア合同で行われ、それに対して効率よく取材したい場所を見ることができるように貸切バスを出すケースが多い。富士急の高速バスや鉄道を使えばいいのだが、メディアによっては大荷物になり一般旅客の邪魔になるので専用の貸切バスが用意される。
高速バスの待機場にもなっている新宿の駐車場に集合すると、富士急バス八王子営業所の日野セレガとセレガハイブリッドの各1台、計2台がやってきた。このプレスツアーでは日帰り取材用と1泊取材用の2台が用意され、それぞれの取材スケジュールに合わせて分乗した。
いつもの山梨方面だと首都高速から中央道に向かうのだが、今回最初の目的地は芦ノ湖なので東名高速に入らなければならない。よって首都高速渋谷線から東京ICへと向かう。
■箱根関所跡港
2台のバスは途中1か所で休憩をして、芦ノ湖の箱根関所跡港に到着した。修学旅行生と外国人観光客でいっぱいの箱根関所跡をサラッと観光して、徒歩で港に着いた。
箱根の東京側は箱根登山鉄道を含めて小田急のテリトリーという感じがしていた。一方、芦ノ湖側は伊豆箱根鉄道を主軸とする西武のテリトリーだったはずだ。
御多分に漏れずこの遊覧船を運営していたのは伊豆箱根鉄道で、2022年に会社を分割して2024年に分割した会社を富士急行に売却する形で富士急グループの「箱根遊船株式会社」として運航している。
■船舶を一新!
伊豆箱根鉄道時代から運行されている船舶を継承した富士急行では、そのうち1船を大幅にリニューアルした。定期旅客船として各港を輸送するほか、出発点に戻る遊覧航路としても使用する船を景色だけではなく、乗っているだけで楽しい空間にしようとリニューアル船「箱根遊船 SORAKAZE」を就航させた。
コンセプトは「箱根・芦ノ湖に浮かぶ緑の公園」で、ブランコ上のベンチや人工芝を敷き詰めた広場等の公園「らしい」ではなく、本物の公園になってしまっているのが本気の証だ。船内では富士山の形をした葛アイスなどの富士急ならではのお土産品がそろえられていた。
■40分の乗船で箱根神社を船上から参拝
乗船時間は約40分で、航路にもよるが上部甲板の右舷側に座っていれば箱根神社の大鳥居の目の前を通過する。この際に船上から参拝できるので、手を合わせて旅の無事をお祈りすると良い。2700円の1日フリー乗船券を持っていれば、元箱根港で下船して陸上から参拝後に、乗船して湖上からも参拝することもできる。
なお、毎月13日は九頭竜神社参拝船も出るので、タイミングが合えば龍神様に合えるかもしれない。公共交通機関での行き方は、小田原駅または熱海駅から伊豆箱根バスで約1時間。
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