観光地を巡る散策しながら歩く経験は誰にもあるだろう。食べ歩きをしたり、路地を見つけ入ったりと思わぬ発見で旅の思い出を残したこともあるだろう。ただし今年は暑いので効率的に時短したい、涼しく移動したい場合に観光のために運行されているバスについてお届けしたい。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■奈良市へGO!
着いたのは奈良市で、奈良県の北部に位置する県庁所在地である。奈良時代には平城京に都が置かれ、長岡京に遷都される784年まで、日本の中心であったことは歴史の授業で習ったことだろう。江戸時代に作られた奈良町は「ならまち」という名称が今でも残り、当時の寺町の雰囲気が残す。
中心部には官庁が多いほか、奈良公園には東大寺大仏殿や春日大社といった名所があり、多くの観光者が訪れる。奈良市は近鉄奈良駅を出ると広い道路と歩道が奈良公園へのルートとして広がっている。
人の流れに沿って歩いていけば15分ほどで奈良公園にたどり着く。この日も多くの観光客が歩く姿があった。
■3種類のフリーパス
筆者は交差点を横断して奈良交通のバス案内所に向かった。入手したのはフリー乗車券である。奈良交通が販売しているフリー切符は「奈良公園・西ノ京世界遺産1-Day Pass」という市内主要観光地を巡ることができる切符だ。もう少しフリーエリアが広い「奈良公園・西ノ京・法隆寺1-Day Pass Wide」、2日間有効の「奈良・大和路2-Day Pass」の3種類がある。
今回はお手軽観光に最適な「奈良公園・西ノ京世界遺産1-Day Pass」を購入した。紙製の切符で乗車日が押印されるタイプだ。サイズは正方形だが2つ折にすることができ、カードサイズに収まるので持ち歩きの収納には困らない。
また乗車することができるエリアは切符の裏面に書かれていて、さらにフリーエリアで巡ることができる寺院や観光地もまとめられているので確認しやすく便利だ。
■シカと観光客はどっちが多い?
購入後すぐ近くにあるバス乗り場に向かうと、黄色い路線バスが停車していた。まず最初に乗るのはこの循環バスだ。市内中心部を環状運転しており、駅から観光地に向かうのならまずこの黄色いバスに乗るといいだろう。
車内は観光客でいっぱいだった。出発するとバスは勢いよく坂道を駆け上がっていく。実際に観光で歩いたことのある方はお分かりと思うが、奈良盆地の北端に位置する奈良市はやや標高の高い場所にあり、駅から奈良公園方面へは若草山に向かうということもあり上り坂が続く。
特に今年の猛暑では歩いての移動は汗だくになってしまう。その点バスなら5分ほどで奈良公園まで連れて行ってくれる上に車内は冷房が効いており快適だ。まず筆者は春日大社に向かうため「東大寺大仏殿・春日大社前」バス停で降車した。
ここから徒歩で10分ほど行くと春日大社である。日差しは強いものの、公園内は木々が茂っているので直接当たらないように歩けばそれほど暑さを感じずに済みそうだ。参道までは多くの観光客が歩いているが、それと同数歩いているのがシカである。
奈良公園になくてはならないシカは、春日大社に祀られている神様(武甕槌命)が常陸国から御蓋山へ白いシカに乗ってやってきたという伝説がある。過去の書物では万葉集には実際にシカがいたことが書かれているので、もうその頃の時代にはいたことになる。
公園周辺には約1300頭を超えるシカが生活しており「春日神鹿」と呼ばれ、神の使いとして大切に扱われている。そして奈良の鹿は国の天然記念物に指定されている野生動物である。江戸時代の奈良の様子を描写した落語の演目に鹿政談があるので聞いてみるといいだろう。
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