(4)苫小牧東港
カーフェリーが発着する港が苫小牧エリアにもう一箇所あり、「苫小牧東港フェリーターミナル」がそれに当たる。
太平洋回りを引き受ける西港に対して、東港は津軽海峡を通って日本海側へ抜け、敦賀・新潟・秋田を結ぶ航路の発着点だ。
同じ苫小牧の港だし、西港のすぐ隣にあるんだろ? と見せかけて、住所で言うなら苫小牧市の西港に対して東港は勇払郡。千葉県にあるのに東京を冠する成田空港のようなものだ。
西港と東港とで、なんと20km以上離れている。苫小牧駅から軽い気持ちでタクシーに乗ろうものなら後悔に苛まれて寝込んでしまいそうな距離だ。
東港にも、JR日高本線の浜厚真という最寄駅が一応ある。距離1.6kmと十分徒歩圏内に思えるものの、途中にコンビニはおろか民家すらほとんどない実質無人地帯を通ることになる。
短く感じる距離でも冬場は超危険、暖かい時期で天気が良ければ問題なさそうだが、訪問日が100%そうである保証はない。さらに春〜秋にかけては、たまにヒグマが出る模様…。
来るものを拒むレベルにフラグが立ちまくる場所に位置するゆえ、よほどの酔狂でない限り徒歩利用なら路線バスありきと考えておくのが東港である。
苫小牧東港へは、道南バスがJR南千歳駅〜東港の直行バスを運行している。ただしこのバスもまた曲者で、駅から港へ向かう時は予約が不可欠だ。
下船後に南千歳行きに乗る際も、乗船中に案内窓口で利用希望の旨を必ず伝えておかないと、船を降りてから素敵なアドベンチャー体験をさせられるハメになるかも。
車両には道南バスの一般的な大型路線車が使われる日が多いようだが、性質で言うなら路線バスというよりも貸切バスに近い。
JR南千歳駅発のバスは全てフェリーの出港時間に合わせてあり、各航路の運航ダイヤによって15:15、17:50、21:50発の3パターンが設定されている。
東港発の直行バスには決まった出発時刻がなく、フェリーが到着して利用希望者が全員バスに乗り次第出発という、空港始発の近隣市街地行きアクセスバスによく似た運行スタイルが採られている。
南千歳〜東港まで30kmくらい離れており、路線車が使われるバスの中ではそこそこ長い距離を走る。趣味的には乗りごたえのあるオイシイ路線とでも言おうか……所要時間45分、運賃は1,200円だ。
北海道の中・長距離フェリーターミナルの場合、市街地から歩けなくない距離の港にも、えらく遠い場所にある港にも、路線バスを使ってのアクセスが可能というわけだ。
【画像ギャラリー】西と東とで性格大違い!? 苫小牧フェリーターミナル(4枚)画像ギャラリー
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