■ダイヤに有利不利はない?
さて1泊で行く東京九州フェリーと、2泊かかるオーシャン東九フェリーだがダイヤを見てみよう。東京九州フェリーは前述の通り横須賀港を23時45分に出港し、新門司港に翌日の21時に到着する。
首都圏からの単純な旅行と考えた場合、新門司港への到着はすでに夜であり、北九州市滞在にしても、そこから福岡市に行くにしても活動する時間はなく、滞在地で1泊が必要だ。実質の活動は横須賀港を出てから2日目からということになろうか。
オーシャン東九フェリーの場合は曜日により若干異なるが、平日・土曜日発の下りのダイヤは東京港を19時30分に出港し、翌日の13時20分に徳島港に入港、14時20分に出港して2日目の05時35分に新門司港に入港する。
この場合、有料の送迎タクシーを利用すれば2日目の午前6時過ぎには門司駅に降り立つことができるので、即活動が可能。
これらのダイヤは旅客の便を図るものではなく、貨物(トラック)の便を優先的に考慮したもので、両地での渋滞や混雑を避ける時間帯に出発または到着するようになっているのは仕方のないところだ。
徒歩乗船の場合、実質的にはどちらも大きな違いはないように思える。船中2泊か、船中1泊プラス現地1泊かの違いだ。
■本船のコンセプトは大きく違う
客室のコンセプトは両社にはかなりの違いがあり、比べることは難しい。東京九州フェリーは旅客需要にも配慮した一般的な長距離フェリーと同様の船室配置だ。
個室も複数のタイプから、ベッド仕切りのみの簡易的なものまでさまざまだ。当然レストランもあり、船内での食事を楽しむこともできる。船旅の基本的な要素は完備されている。
一方のオーシャン東九フェリーは極力合理化した本船構造で、船室はベッドを区切った簡易的なスペースと、2名または4名の個室しかない。船室間の上下関係はなく、個室かそうでないかの違いだけだ。
したがって個室船室を利用したい場合は洋室(ベッド)の運賃に個室料金を加算する仕組みで、1名利用でも貸切料金は必要ない。定員分の運賃と1室あたりの個室料金を支払えばよい。
■そして24時間いつでも喫食可能!?
合理化が徹底されたオーシャン東九フェリーにはレストランはない。2泊もするのにレストランはないのだ。ただし、各種の冷凍食品が並んだ自動販売機と専用の業務用電子レンジがあり、24時間好きな時に飲食することが可能だ。
そのためにレストランに相当するテーブルがあるラウンジが常時開放されている。お酒もジュースもおつまみもパンも、カップ麺からご飯類まですべて自販機で提供されるので、レストランでの接客乗組員は基本的に不要だ。
自販機が充実しているのは何も喫食部門だけではなく、大浴場の近くにはアメニティ関連の自販機もあり、近くにはドラム式コインランドリーもあるので入浴中に洗濯もできる。
いわゆる「船旅」らしい楽しみを求めるには東京九州フェリーが、2泊を好きなように使い、誰にも干渉されずに楽しむ場合はオーシャン東九フェリーという選択でもよさそうだ。ただしオーシャン東九フェリーには船内WIFIの設備はない。
とはいえ下りは右舷、上りは左舷側の船室を予約、またはラウンジに座れば携帯の電波は一部の海域を除いて利用可能なので、テザリングでPCを使用しての仕事はできる。なお個室やラウンジではテレビが設置されているので、チャンネルはコロコロ変わるが地上波や常時受信可能な衛星テレビは視聴可能。
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