BYD製電気バスの実力は?
富士急行の電気バスは中国のBYD製だ。今回は貸切として富士急ハイランドからロープウェイや河口湖遊覧船に乗るための移動手段として試乗した。
大型の電気バスとは少し違うが、記者は都営バスのトヨタ・J-BUS燃料電池車「SORA」にしか乗車したことがないので、これとの比較でしかないことを最初にお断りしておく。また今回の着席位置は最後尾座席である。
加速はなかなかパワフルで、さすがはモーターで動くバスだと感じた。電車とひと昔前の気動車くらいの違いがある。ただしモーターが発する騒音量については、音の質こそ違うがディーゼル車とさほど変わらないと感じた。
また減速時は電力回生ブレーキが動作しているため、走行時とあまり変わらない程度の音がする。これはディーゼル車で常にエンジンブレーキを使用している感じと考えればわかりやすい。
とはいえ、二酸化炭素や窒素酸化物を出さないので環境には優しいのは事実である。この大容量バッテリーは災害時には自走できる非常電源車として活用でき、座席もあることから休憩室として利用できるメリットがある。この社会的な意義は大きい。
また輸入車特有の硬い座席(本車は座席も中国製)と硬めのサスペンションから乗り心地は良いとは言えない。これも路線車なので短距離であれば気にならないが、中距離以上だと辛いのかもしれない。
ただし変速ショックというものが存在しないので、加速時の不快感は皆無だ。座席の座り心地は国内を走る路線バスでいうと、メルセデスベンツ・シターロGに似ているような気がする。
電動機は起動時から最大トルクを発生させるのでトランスミッションが不要。このため発進時から連続的な加速による走りは不思議な感覚であることは間違いないので、バスファンとしては評価のために乗っておくべき車両ではある。
また感染症対策もバッチリで、なんと乗車時にサーモグラフィックカメラによる体温チェックがあるのにはおどろいた。
往復はスカニア・バンホールで!
富士急ハイランドや富士五湖周辺へは、首都圏から中央道を走る高速バスを使うと便利だ。現在ではフジエクスプレスが所有する2台のスカニア・バンホールInterCityDDが日により運用は異なるが、3-4便ほど富士五湖線に充当されているので、これを狙うのも面白い。
予約サイトで富士急便「2階」の表示があればそれがダブルデッカー車で運転される便だ。下り便で景色や富士山を楽しみたいのであれば2階席最前列や左側、バスの挙動やエンジン音を楽しみたいのであれば1階席等々、楽しみ方はファンの分野によりさまざまだ。
絶叫も恐怖も移動も、高速バスと電気バスで期待と思い出を胸に、良い旅を!