問題点を名鉄バスにぶつけてみた
以上のような問題点は記者のオピニオンに過ぎないし、すべての事業者に等しく当てはまるとも考えていないが、少なくとも問題点の整理はできると考えて、名鉄バスにそのままぶつけてみた。
オンライン形式で名鉄バスの人材開発担当主任である入江直美さんに話を伺った。前述の記者のオピニオンを伝えたうえでの回答である。
「まず、第一の待遇面につきましてはおっしゃる通りです。当社ではこれは第三の問題点にもかぶりますが、新卒採用はしています。しかし中心はやはり中途採用です。ということは年齢的にも家庭を持たれている方も多く、そんな方が転職するのに時給の契約社員では本人が良くてもご家族が不安ですよね」
「そこで当社では入社と同時に正社員として採用することにしました。そして第二の問題点である運転免許についてですが、これも取得中は時給でしかも実際に教習を受けている実時間だけの計算ということが多いのですが、転職したてで翌月の給料がそれではやはり先行き不安なのも理解できますので、当社では免許取得中でも正社員と同様の月給を支払うことにしました」
名鉄バスの切り札とは?
--記者:そこまですれば応募者は多くなりますでしょうか?
「やはり長年の待遇のイメージがあるのかそう簡単には行きませんでした。実は私ども人事部よりも営業所の現場の乗務員の方が危機感を感じていました」
--記者:それはなぜですか?
「乗務員不足は現場の乗務員がカバーしなければならなくなる、つまり自分たちの労働環境が悪化することを意味することになりますからね。肌身で感じているはずです。そこで当社ではMyReferというアプリを2019年4月ごろから活用することにしました」
--記者:そのアプリとは何者ですか?
「社内外の信頼できる人脈を介した採用活動をサポートするアプリなんです。乗務員(紹介者)が知り合いに見せて、あとは興味のある方(応募者)が見て応募するという形です」
--記者:アプリを使うメリットは何ですか?
「乗務員の知り合いが応募を仲介することで、応募要項だけでは見えない生の声をその場で伝えることができます。アプリ経由で応募したからといって選考が有利になることはないのですが、少なくとも一度は乗務員とお話したことあある方が応募してくださることは人事部にとっても心強いのは確かです」
(下)に続く。