高速バスの運行も徐々に再開され、または便数も戻りつつある。出張の移動を高速バスでという方も増えるだろうし、リモートワークならば地方の温泉宿でゆっくりと仕事をするという方もいるだろう。
現在では多くの場所でフリーWi-Fiが利用できるので便利になってきてはいるが、ビジネス用途だとどうしてもセキュリティーの面で不安が残る。そこでやはりビジネス用途ではモバイルルーターは必要だという観点から、バス車内で安定かつ満足のいく速度で通信ができるのかどうかを検証してみた。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
取材協力:フジエクスプレス
ビジネス用途は最高速度よりも安定性
ビジネス用途であれば、オンラインミーティングが盛んだが、まさか高速バスの車内でオンラインミーティングという選択はないので、もっぱらドキュメントや画像のやり取りということになろう。
記者の用途では取材で撮影した大量の画像をサーバーにアップロードする用途が多いので、下りよりも上りを重視する傾向にある。しかしそれは個人のビジネス内容によるだろう。
試用したのはa2networkのスカイベリーWiFiだ。一般的な大手キャリアの電波を利用したクラウドSIM採用のルーターなので、キャリアの通信品質に依存する。とはいえ提供会社とキャリアとの契約にも依存するので、どこでも同じというわけでもない。
現在は海外に行くことはほとんどないだろうが、今後は国外に出張する方も多くなるだろう。本機は海外でも利用できるルーターなので、その際は日程にあったプランを申し込めばよい。
本稿では国内利用の想定で高速道路を走るバス車内で試用してみた。なおアンリミットのプランはないので必要通信料に応じて選択する。
東名高速だと比較的都市部を走るイメージがあるので、あえて中央道を走るバス車内でトンネル内を含めて使用した。
もちろん場所により、あるいはキャリアの輻湊状況により、あくまでもベストエフォート方式なので通信速度は変化するものの、ビジネス用途では一時期に大容量の通信を行うことよりも長時間安定してそれなりの容量の通信ができた方がありがたい。
都内や首都高速はもちろんだが、中央道やトンネル内でも特に問題なくアップロードし続けることができた。もともとキャリアの通信は下り速度重視なので上りで問題なければ下りは快適なはずだ。
参考までにバス車内でA4サイズノートPCを使用してHD動画を見る程度ではビクともしないので、結論としてはパーソナルユースでも問題はない。
ビジネス利用で完全ではないものの、より強固な秘匿性を確保するためにはVPN等の技術で安全なサーバーまでトンネリングすればよい話だが、それはまた別の問題で端末で設定すればよいだろう。
これから今まで以上に国内移動をする機会が増え、どこにいても仕事ができる環境や生活様式が一般化すれば自前の、あるいは会社支給のモバイルルーターが活躍する機会は増えるのかもしれない。
スマホのテザリング機能を利用する手もあるがまだまだ高額でバッテリー消費の問題もあることから常時接続というわけにもいかないので、移動機会が増える前に検討しておくと良いのかもしれない。
【画像ギャラリー】高速バスでのビジネス移動が増えると不安になる通信環境でモバイルルーターはどこまで使える?(6枚)画像ギャラリー