JR東日本グループでは、新たな輸送ビジネスの構築と地域の魅力発信・地域産品の流通拡大による地方創生を目指し「はこビュン」を実施している。この取り組みの中で、新函館北斗から館山まで鮮魚をリレー輸送する。新幹線と高速バスをリレーする長距離輸送の計画を見てみよう。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】JR東日本が新幹線と高速バスで鮮魚をリレー輸送!輸送距離964.2㎞を7時間弱で高速輸送(7枚)画像ギャラリー964.2kmを7時間弱で高速輸送!
東日本旅客鉄道とジェイアールバス関東は、11月26日~12月4日の期間で、「はこビュン」とJRバス関東が運行する高速バス「なのはな号」が「はこビュン」plus として連携することで、即日最長距離となる新幹線最北端の新函館北斗駅から館山エリアへの今朝どれの鮮魚を輸送する。
館山駅周辺の飲食店およびJR東日本ホテルズのホテルファミリーオ館山内レストラン「BUONO」に鮮魚を届け、さらなる地域の魅力発信とビジネスの拡大に取り組む。JR東日本グループでは、モーダルシフトにも資する取組みとして、引き続き「はこビュン」および高速バスの連携を進めていきたい考え。
実施日は2021年11月26日、11月29日、12月2日、12月4日で、まずは、新幹線はやぶさ18号・新函館北斗駅発9:35→東京駅着14:04(輸送距離:862.5km)で東京駅まで輸送。
そこから高速バスなのはな17号・東京駅発14:20→館山駅着16:18(輸送距離:101.7km)で館山まで輸送する。輸送距離964.2kmを7時間弱で新幹線沿線以外の地方に届けるのは驚異的な速さだ。
「はこビュン」plusは、通常の「はこビュン」サービスに加えて、高速バス等の定期輸送手段を合わせて商品を輸送する。今回は初めての取り組みであり、各地域での検証を重ねて今後本格的なサービスインを目指すようだ。
全国で同様の社会実験・実証が進行中
昔は輸送の中心は鉄道貨物だったが行先によるヤードでの貨車組成に時間がかかり徐々にトラックにシェアを奪われる。当時の国鉄も大都市間では直行で高速輸送する高速貨物列車を設定し巻き返しを図ったが、高速道路が全国に整備されトラック輸送にシフトした。
長距離では航空貨物にもシェアを奪われる結果となった。しかしトラックはバスと同様に運転手不足に悩まされており、需要はあるものの運ぶ人がいない状況であるのも事実である。
鉄道会社もバス事業者もコロナの影響で旅客需要が低迷する中で、特に高速な旅客車に生鮮品を積み込むことで、輸送量こそ多くはないものの「高速」という付加価値を付けて輸送する実証実験が全国で行われている。
こうした取り組みの中で新たな需要が喚起されれば輸送商品により選択可能な輸送手段が生まれる。今後は幹線部分は鉄道で、フィーダー部分は高速バスで、あるいは夜行高速バスで一気に地方から都市部へ運ぶことも考えられるだろう。
【画像ギャラリー】JR東日本が新幹線と高速バスで鮮魚をリレー輸送!輸送距離964.2㎞を7時間弱で高速輸送(7枚)画像ギャラリー