バス事業は東京都でも厳しい!? 「東京都交通局経営計画2022」から都営バスの見通しを読み解く


 東京都交通局は「東京都交通局経営計画2022」を策定し公表している。この計画は、交通局を取り巻く事業環境の変化を踏まえ、各事業が抱える課題の解決に向けて今後、交通局が目指すべき姿や経営の方向を明らかにしたものだ。非常に多岐にわたる計画のため多角的な評価が必要なものだが、都営バスの財政収支計画にスポットライトを当ててみた。

文:古川智規(バスマガジン編集部)

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見通しの前提

 交通局ではコロナの影響による今後の乗客数の見込みについては、2024年度までに段階的に回復し、その後はコロナ禍前と比較して、地下鉄では15%程度、その他の事業(電気事業を除く)では10%程度の減少が続くものと想定している。

 また運賃等の改定については、今回の収支計画等では見込んでおらず、今後の需要動向等を見極めつつ、長期的な視点に立って様々な角度から検討を進めるとしている。

多くの都営バスが並ぶ錦糸町駅前

 計画には今後の物価上昇や給与改定については見込んでいない。よって昨今の燃料費高騰やインフレによる物価や経費上昇分については多分に不確定要素があり、状況に応じて変更される可能性はある。

都営バスの収支目標

 財政収支計画期間中(2024年度まで)の経常損益は赤字で推移するものの、更なる旅客誘致や費用の縮減等を図ることで、経常赤字の縮減に努めるとしている。

 環境負荷の低減のために燃料電池車を現在の71両から2024年度までに80両まで導入したり、ディーゼル車の更新についてはすべて低公害バスを導入したりと環境に配慮する一方で、同時に高価なバスを導入しなければならないということになり赤字縮減と相反することになる。

燃料電池車

 どちらも大切なことなので、どこかで線引きの判断をしなければならなくなるだろう。

収支見通し

 参考までに交通局が見込んでいる収支見通しとしては、経常損益は当面赤字が続くものの、費用の低減等により、2025年度以降黒字に転じるとともに、累積資金不足は2030年度に解消する見通しとしている。

 バス事業単体で見ると収入は営業外収入はほとんど変わらず、営業収入(主に運賃)で稼いでいくことになる。営業収入は2022年度の405億円から、2024年度には431億円まで増収を見込む。支出も営業費用が大半を占めるが、これを2022年度の449億円から、2024年度には436億円まで圧縮し、収支改善を図る。

長期見通し

 これらの計画により経常損益は2022年度の45億円の赤字から、2024年度には6億円の赤字まで改善させたい考え。その後は累積の年度末の資金残高も2030年度には5億円、2031年度には15億円になる見通しだ。

 交通局が行う事業のうち、規模は異なるものの早期に経常利益が確保できるのは高速電車事業(都営地下鉄)と発電事業だけで、自動車運送事業(都営バス)・軌道事業(都電)・新交通事業は依然として厳しい経営が続く。

「乗る」支援も必要か

 コロナで日本の公共交通機関を運営する事業者は軒並み厳しい経営が続くが、事業者だけの経営努力で吸収できる限界はすでに超えている。

 趣味目的でも生活目的でも日常の足を守るためには今は「乗る」ことで、ささやかだが自分のためにもなる「支援」をしていく必要がありそうだ。

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