WILLER EXPRESSは2023年4月27日(木)より「西鉄天神高速バスターミナル」への乗り入れを開始する。「西鉄天神高速バスターミナル」と大阪や広島間を繋ぐ高速バスは西鉄が撤退して以降ははなかった。しかし「天神」へ初めて乗り入れるWILLER EXPRESSにより、都市間移動がさらに便利で快適になることが期待される。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■まずは事実関係から追ってみよう
大阪と広島から「西鉄天神高速バスターミナル」への直通バスを運行開始する。福岡市内へのWILLER EXPRESSの乗り入れは、「博多バスターミナル」に次いで2か所目だ。大阪からは夜行便1往復、広島からは昼行便1往復と夜行便1往復を運行する。
大阪や広島へ向かう際は博多まで行く必要があった西鉄天神大牟田線沿線から「西鉄福岡(天神)駅」直結の「西鉄天神高速バスターミナル」から乗車できることで、西鉄電車を降りてすぐに高速バスを利用することができるようになり、利便性が向上する。
「西鉄天神高速バスターミナル」の乗り入れ開始を記念した「運行開始記念セール」(売り切れ次第終了)を実施する。3月8日(水)から6月30日(金)までの期間限定・席数限定で、大阪発着は4,000円、広島発着は昼行便2,000円、夜行便3,000円で発売される。停車順序はいずれの路線も、~小倉・天神・博多・基山~佐賀駅となる。
■どこがビックリポイントなのか!?
今回の発表による利便性や事実関係は以上である。一般的な利用者にとってはありがたい話なので結構なことだ。ここからはバスファンとしてのなぜ?について一般的な考察をしてみたい。以下は記者のオピニオンだ。
ご承知の通り福岡市の中心地的な場所は、JR博多駅があり新幹線の発着地でもあり従来はビジネス街といわれた博多駅周辺と、西鉄福岡駅のある商業地である天神周辺の2か所だ。どちらがにぎやかなのかといえば、商業的に発展してきた天神である。
博多駅にはJRが発着するが隣接して博多バスターミナルがあり、こちらは西鉄の資本も多く入っているので西鉄グループには違いはないものの、福岡市の玄関口として共同で利用できるようにするために当時の国鉄や福岡市、バスが乗り入れていた昭和バスや祐徳バスも出資している。
そういった関係上、西鉄だけではなくJR九州バスや昭和バスも博多バスターミナルを利用する。ウィラーの九州方面便を運行するのは祐徳バスなので博多駅には乗り入れ済みだ。
一方で、西鉄天神高速バスターミナルはその名の通り西日本鉄道が西鉄福岡駅や商業施設と一体的に開発した複合ターミナルなので、バスターミナルは西鉄と西鉄が噛んでいる(西鉄との共同運行会社の便やかつて共同運行していて西鉄は撤退し運行支援を行う会社の便)便しか乗り入れができない、いわば西鉄の牙城でもある。
よってJR九州バスも昭和バスも西鉄が噛んでいない路線のバスは西鉄天神高速バスターミナルに乗り入れることはできず、博多駅に直行するか天神の中心部とは言い難い路上バス停を設置してそこに停車するしかなかった。
過去には西鉄が撤退した後に別の事業者が再参入したが天神に乗り入れることができず短期間で廃止に追い込まれた路線さえある。もちろんそれだけが理由ではないのだが、それほど福岡において天神は重要な地位を占めるのは間違いない。
それゆえに西鉄とは無関係なバスの乗り入れが実現できたことが、思わず「マジか?」といってしまうほどのビックリポイントの理由だ。
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