コロナにともなうマスク着用について新しい基準が政府から示されたが、早速バス事業者から今後の対応や公式の見解が出始めている。今回は西鉄バス北九州の対応について取り上げ、コロナにより変わったバスの展望を考える。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■乗務員は当面マスク継続
西鉄バス北九州のは発表は次の通りだ。「新型コロナウイルス感染防止に関する政府の基本的対処方針の変更(個人の主体的な選択を尊重)を踏まえ、バス従業員は当面の間、マスク着用を継続します。」
「また、車内音声・画面表示については、3月18日以降、順次案内を削除いたします。何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。西鉄バス北九州株式会社」
以上のような内容で、バス乗務員は当面の間、マスクは継続するが乗客については任意となるようだ。もっとも感染防止の観点からは乗客もマスクの継続使用が望ましいのだろうが、順次車内放送や張り紙等の案内は削除するようなので名実ともに任意になりそうだ。
■街中でも非着用が進んでいる?
実際に西鉄のホームである北九州市内で街中を見てみると、まだマスク着用者が多いものの、ちらほらと非着用が進んでいるようにも見える。高速バスのような座席が一方方向を向いていて全員が着席している状態ならば、さほどの心配はないのかもしれない。
問題は通勤・通学時間帯のラッシュ時運行のバスだろうか。立席も多く中心地に近いほど満員になる路線バスの場合は、乗客次第といったところだろうが、日本の路線バスではそんなに大声で会話をする人は多くないので、なるべく黙って乗ることが前提になるのかもしれない。
■ヲタ席は事業者次第か?
最前列かぶりつきのいわゆる「ヲタ席」については、当初から事業者により対応が分かれている。西鉄は運転席後ろは着席不可になっている車両もあるが、左側の最前列シートは当初から開放されている。
そもそも運転士の感染防止のために着席不可にしたり、シートでバリアを張ったりしていたので、当面は着席不可の状態を継続する事業者もあるかもしれないが、いずれは解除されていくだろう。
■高速路線は戻るのか?
運休や減便になっている高速路線の便数や路線そのものの復帰はどうなのだろうか。こちらは人流が戻ることが条件になるのだろうが、すでにバス事業者は運転士不足の方が深刻な状況になっており、路線バスの便数にまで手を付けなければならない事業者も少なくない。
そう考えると、バスはあるが動かす人がいない状況では、簡単に便数を元に戻したり、休止路線を復活させたりするのは容易ではないことは察しが付く。
もちろん高騰する燃料費をペイするために、引き続き運賃値上げも行われるであろうが、この増収分を運転士の待遇改善にどれくらい回せるのかは事業者それぞれの事情にもよるので未知数だ。
■燃料高騰でLCCとの差は小さい?
コロナ以前は就航地があるのであれば圧倒的にLCCの運賃が安かった。高速バスでも対抗不可能なほど安い路線もあったほどだ。しかそ最近はLCCの運賃も上昇しており、バーゲン運賃はほとんど取れない。
よって普通に購入するのであればLCCとバスの運賃差は小さくなっており、時間を有効に使え都心に直通する夜行便がある高速路線ほど有利な状況になりつつある。
学生の春休みシーズンということもあろうが、西鉄のはかた号プレミアムシートが満席で取れない日が多くなっていたので、そういうことなのだろう。
バスファンとしては安くて乗り換えの必要が少ない高速バスや、接続する路線バスを利用してバス事業者を応援するのも大きな力になるのではないだろうか。
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