西日本鉄道(西鉄)および西鉄バスグループである西鉄バス北九州・西鉄バス二日市・西鉄バス宗像・北九西鉄タクシーは、国土交通省に乗合バス運賃の上限運賃改定認可申請を行った。高速バスは路線により運賃改定をしてきたが、とうとう路線バスが値上げの対象になった。申請理由や改定の詳細を見てみよう。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■運賃改定申請の理由はいくつもある
西鉄バスグループでは、輸送の安全を最優先に掲げ、さまざまな施策の実施による収入確保や、アイドリングストップによる燃料費の節減をはじめとする徹底的な経費削減を図りながら消費増税にともなう改定を除き、1998年8月1日実施の運賃改定以来、約25年間は運賃を変更することなくバス事業を継続してきた。
しかしながら、少子高齢化やマイカー等との競合に加え、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの浸透など、「新しい生活様式」への移行に伴う移動需要の縮小も打撃となり、2022年度のバス利用者数は新型コロナウイルス感染拡大前の2019年度と比較して約2割減少したこともあって、バス事業の維持に必要な収入の確保も厳しい状況が続いている。
一方で、バス事業の運営に係る費用は年々増加傾向にある。慢性的な運転士不足を踏まえた人財確保のための待遇改善に加え、安全投資や環境投資、燃料費の高止まりなど、コスト増の要因は山積し、グループ全体のバス事業は2020年度以降、営業赤字が続くなど、安定的かつ持続可能な公共交通ネットワークを提供し、地域の足を守るというバス事業者の使命は揺らぎかねない状況にある。
西鉄バスグループとしては、こうした環境下における事業運営の改善を図るとともに、将来にわたってバス事業の安全・安定的な継続を図るべく、上限運賃の改定を申請した。
■申請の概要はこんな感じ
今回の運賃改定申請日は2023年6月15日だが、実施予定は2024年1月としている。詳細な日付は認可され次第改めて発表するとのことだ。申請された上限運賃の平均改定率は19.88%だが、これは原価に応じて算出された事業者が収受できる上限額で、乗客が実際に支払う運賃(実施運賃)ではないことに注意する必要がある。
西鉄によると、実施運賃の平均改定率は12%程度の予定だ。例示された対キロ区間制運賃の初乗りは現行170円のところ、実施運賃予定額は210円だ。主要区間の運賃で旅行者も利用する機会が多い天神-博多駅間は実施予定運賃は割引され150円と現行と変わらない予定。ただし、定期運賃は値上げになる。
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