バスの車体に書かれた「ノンステップバス」の表示……あれって青字で書かないとダメなものなのか?

バスの車体に書かれた「ノンステップバス」の表示……あれって青字で書かないとダメなものなのか?

 近頃はノンステップバスがかなり普及してきた。そんなノンステップバスの車両によっては、その車両がノンステップであることを知らせる文字が車体に記されていることがある。あれの正体は一体……!?

文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、ノンステ表記クローズアップ集の写真があります)

■青字じゃないとダメなのか?

青と白を組み合わせた都営バス(東京都)の「ノンステップバス」表記
青と白を組み合わせた都営バス(東京都)の「ノンステップバス」表記

 ノンステップ車である告知表示といえば、車体の側面や前後のどこかにカタカナで「ノンステップバス」もしくは、英語で“Non Step Bus”のように書かれているのが一般的だ。カタカナ/英語両方書かれている場合もある。

 その告知表示の文字、普段バスを何気なく眺めていると、大抵が青色ベースで書かれているような気がする。もしノンステップ車全ての「ノンステップバス」表示が青で統一されているとしたら、何か決まりでもあるのだろうか?

東急バスでは青をノンステップ車の識別色にも利用している(東京都)
東急バスでは青をノンステップ車の識別色にも利用している(東京都)

 まずは国土交通省が提示している「標準仕様ノンステップバス」ガイドラインを開いて、各項目をチェックしてみる。

 すると項目は多岐に渡るものの、車体の「ノンステップバス」表記の書式や色については言及されていない模様。特に決まりはないのかな?

■実際どれも青なのか!?

 続いては各バス事業者のノンステップ車に注目してみる。ひとまず首都圏を走るノンステ車の文字色はどうかと言えば……

ボディの帯色に表記の色を合わせた横浜市営バス(神奈川県)
ボディの帯色に表記の色を合わせた横浜市営バス(神奈川県)

 青字で「ノンステップバス」や“Non Step Bus”と書かれている、もしくはボディカラーとは別に青色で塗りつぶした枠を設けて、その中に白地で書かれたものが一例に挙げられる。

表記の位置によってボディカラーの青と白を使い分けた川崎市営バス(神奈川県)
表記の位置によってボディカラーの青と白を使い分けた川崎市営バス(神奈川県)

 さらに、基本的に青字ながら、青で書くと車体色と同化して目立たない箇所は白字にした、1台で青白を使い分けるパターンも見られる。

相鉄バス(神奈川県)の現行カラーは青字
相鉄バス(神奈川県)の現行カラーは青字

 どうやら青と白の組み合わせは、ショートケーキの生クリームとイチゴくらい密接な関係にあるようだ。

■バラエティ豊かな説が浮上

 過去に撮影した各種バスの写真をよくよく見ていくうちに、ノンステップバス表示は必ずしも青字ではないパターンが出てきた。

一つ前の相鉄バスカラーに見られるNon Step Bus表記
一つ前の相鉄バスカラーに見られるNon Step Bus表記

 例えば相鉄バス(神奈川県)の、白地にオレンジとパステルブルーの現行塗装では青字の“Non Step Bus”表記であるが、一つ前の相鉄カラーの場合、Non Step Busの表記に淡いグリーンが使われている。

赤系てんこ盛りで超艶やかな関東鉄道(茨城県)のノンステップバス表記
赤系てんこ盛りで超艶やかな関東鉄道(茨城県)のノンステップバス表記

 ほかにも黒、赤、オレンジ、緑、ピンク(!)、フチドリ付きなど、掘り下げれば掘り下げるほどカラフルに!! バスマガジンWeb/ベストカーWeb上のギャラリーに具体例の写真を添えてあるのでご参考までに。

ピンク+同系色フチドリという思い切ったカラー選定の徳島市営バス
ピンク+同系色フチドリという思い切ったカラー選定の徳島市営バス

 とりあえず「青色でないとダメ」説はこの時点で消え、代わりにバラエティ豊かな説が浮上した。

■40事業者のバス車両で比較だ!

 それでも依然、ノンステップバスの表記は青字がポピュラーであるイメージ。せっかくなので全国40事業者のノンステップ車に書かれた「ノンステップバス」表記をサンプルに、文字が何色で書かれている割合が高いのかを調べてみた。

会社ロゴと同じ青色を使った西鉄バス北九州(福岡県)
会社ロゴと同じ青色を使った西鉄バス北九州(福岡県)

 集計にあたって、車両1台に青字/白字どちらも使用しているものは数が多いと推測して、「青系」として一つの枠組みに入れておいた。結果は如何に!?

【青系】19/40 47.5%
・函館バス(北海道)
・青森市営バス(青森県)
・関東自動車(栃木県)
・関越交通(群馬県)
・千葉交通(千葉県)※現在の京成バス千葉イースト
・日東交通(千葉県)
・都営バス(東京都)
・京王バス(東京都)
・神奈中バス(神奈川県)
・相鉄バス(神奈川県)
・川崎市営バス(神奈川県)
・横浜市営バス(神奈川県)
・東海バス(静岡県)
・西日本JRバス(滋賀県/福井県内を走る路線車)
・三重交通(三重県)
・神姫バス(兵庫県)
・徳島バス(徳島県)
・琉球バス(沖縄県)
・那覇バス(沖縄県)

前は青色・側面は緑地に白の変則的な配色の道北バス(北海道)
前は青色・側面は緑地に白の変則的な配色の道北バス(北海道)

【赤系】2/40 5%
・茨城交通(茨城県)
・基幹バス(愛知県)

【黒系】4/40 10%
・道南バス(北海道)
・小田急バス(神奈川県)
・江若バス(滋賀県)
・熊野御坊南海バス(和歌山県)

全体がスカイブルーの、ことでんバス(香川県)の表記は白一色
全体がスカイブルーの、ことでんバス(香川県)の表記は白一色

【白一色】4/40 10%
・越後交通(新潟県)
・富士急シティバス(静岡県)
・名古屋市営バス(愛知県)
・ことでんバス(香川県)

【ミックス】7/40 17.5%
・道北バス(北海道):青/緑地に白
・関東鉄道(茨城県):白フチドリの赤+ドロップシャドウ
・関東バス(東京都):黄フチドリの青
・臨港バス(神奈川県):青フチドリのオレンジ/白
・伊豆箱根バス(静岡県):黒、白、緑
・神戸市バス(兵庫県):緑+英語表記NON-STEP BUSのN S Bだけ赤
・トモテツバス(広島県):黄フチドリの緑

ボディカラーの反対色でノンステを強調したサンデン交通(山口県)
ボディカラーの反対色でノンステを強調したサンデン交通(山口県)

【その他】4/40 10%
・奈良交通(奈良県):緑/白
・サンデン交通(山口県):黄
・大川バス(香川県):オレンジ
・徳島市営バス(徳島県):同系色のフチドリのあるピンク

黄色のフチドリがユニークなトモテツバス(広島県)
黄色のフチドリがユニークなトモテツバス(広島県)

 青色と相性抜群な白も、白一色だと少数に転じるのは意外なところ。車体色に対して目立つという点はほぼ共通かもしれないが、各社自由に色を選んでいる様子が見て取れる。

前と側面に青字で“NON-STEP”と書かれた琉球バス交通(沖縄県)
前と側面に青字で“NON-STEP”と書かれた琉球バス交通(沖縄県)

 いずれにせよ青色が半数に迫る多数派であるのは間違いなさそう。とはいえ掘り下げる前に思っていた“青一辺倒”なイメージは完全に覆る結果になった。

ちょっと珍しい(?)青色のフチドリ+オレンジの臨港バス(神奈川県)
ちょっと珍しい(?)青色のフチドリ+オレンジの臨港バス(神奈川県)

 日本各地を走る、各バス事業者の「ノンステップバス」表示にどんな色が使われているのか……これはこれで、ちょっとしたバスウォッチのテーマになりそうだ。

【画像ギャラリー】ノンステ表記クローズアップ集(16枚)画像ギャラリー

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