バスでおなじみのあのメーカーの車両が消防車に!? 「東京国際消防防災展2023」が衝撃的すぎた!!

■個人でも欲しい消防車両?

日野製の消防車
日野製の消防車

 さて、大型の消防車両はまれに廃車になるものが払い下げられて(最近はオークションで入札という売却方法も多い)、一般でも手に入れることは可能だが、置き場所や用途で個人所有しても困るので好きでもなかなか手が出ないのではないだろうか。

 そんな思いから回っていると、小型の消防団が使用する軽自動車ベースの車両もあり、これくらいなら持てるとも頭をよぎるのだが、それでもさすがにポンプ車はいらないので、回ってみるといわゆる「トライク」が展示してあったので話を聞いてみた。

■電動トライクなら下町もスルスル走る!

赤色灯搭載で緊急走行も可能なトライク消防車両
赤色灯搭載で緊急走行も可能なトライク消防車両

 小型船舶操縦士の資格をお持ちの方であればおなじみのマリンエンジンで定評のあるトーハツは、その技術から防災機器も手掛けていて、ポンプは得意な分野だ。そのトーハツが参考展示していたのがトライクだ。トライクは二輪のバイクを三輪にしたようなものだが、区分は法律により若干ややこしい。

 この車両はエンジンで動くのではなくモーターで動くEV車だ。車両区分は側車付き軽二輪となり、250㏄以下の自動二輪車(軽二輪)と同じ登録・税区分だ。よって車検も車庫証明も不要である。しかし運転するには普通自動二輪の免許は不要で、普通自動車運転免許があればよい。

運転席にはサイレンアンプが!
運転席にはサイレンアンプが!

 税金が安く車検も車庫証明も不要で、普通免許で運転できる。車幅はサイドカー付きの二輪車と同じくらいなので、軽自動車でも入れない下町の隘路でも真っ先に飛んでいくことが可能だ。荷室にはトーハツのエンジンポンプが載せられ、初期消火や鎮火後の後始末で水を掛ける消防団にも向いている。

 もちろん緊急走行ができるようにサイレンアンプや赤色灯が搭載されているが、最高時速は55km/hなので赤信号を通過する程度の威力は発揮できそうだ。満充電で約100kmは走れるとのことなので、基本の範囲が市区町村に限られる消防車両としては問題ないだろう。

■改造ではなく新規開発車両!

運転席は二輪車そのもの
運転席は二輪車そのもの

 このトライクは、既存の自動二輪車を改造して製造しているのではなく、北九州市の会社が製造している新規開発車両がベースになっている。

 北九州市にあることからバスマニアであれば西鉄系の新しいバス製造会社なのかと考えるかもしれないが、あのEVモーターズ・ジャパンというEV車両専門のメーカーだった。以前に富士急行でEV路線車を取材したことがあるがその会社だ。

 同社では乗用車は製作していないが、日野ポンチョのようなコミュニティバス、10.5m路線バス、8.8m観光バスを製作している。トーハツが展示した消防用車両は参考出品だが、プレーンの状態ではEVモーターズ・ジャパンから販売されていて個人でも手に入る。

 荷室の大きさが、L955×W820×H1010mmなので、もう少し長ければ車中泊ができるお手軽キャンピングカーになると思った。

トーハツ製のポンプが鎮座するがまだスペースはある
トーハツ製のポンプが鎮座するがまだスペースはある

 そのあたりのことは両社に期待するしかないし、車両の制限もあるので容易ではないにしろ、長めのトライクにトーハツの災害用段ボールベッドやエンジンを流用した発動発電機なんかを組み込めば、立派なお一人様用車中泊キャンパーだ。

 そんな妄想はさておき、大型の消防自動車を所有するのは難しくても、軽自動車やトライクのような小型車、または中型免許が必要だがハイエースコミューターのような中型車ベースが売りに出されれば所有して自分色に染めることは可能なのかもしれない。

 消防用車両に限らずこのようなプロ用機器に興味があれば防災意識も自然に向上するというものだろう。災害が多い日本だからこそ、火災に限らず災害に備えた生活を意識したい。

【画像ギャラリー】消防車両がいっぱい!スカニアからトライクまで(10枚)画像ギャラリー

最新号

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

バスマガジン Vol.126は9月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、東急バスを特集。東京都から神奈川県において都市部から住宅地、田園地帯まで広いエリアを綿密なネットワークを展開、さらに高速路線バスやエアポートリムジンも大活躍。地域住民の足としてはもちろん、首都圏の動脈ともいえる重要な存在だ。  続く特集は、ついに日本に上陸しさらに種子島での運行が決まった、ヒョンデの電気バス[ELEC CITY TOWN]の試乗インプレッション。日本におけるヒョンデの本拠地である横浜・みなとみらい地区で、徹底的にその性能を確認した。  バスの周辺パーツやシステムを紹介する[バス用品探訪]では、なんと排出ガスからほぼ煤が出なくなるというエンジンオイルを紹介。この画期的な商品「出光アッシュフリー」について、出光で話わ聞いてきた。  そして後半カラー特集では、本誌で毎号、その動向、性能を追跡取材してきた「カルサンe-JEST」。このトルコ製小型電気バスがついに、運行デビューを果たした。その地は長野県伊那市と栃木県那須塩原市。今後の活躍が期待される出発式を紹介する。