バスの世界でもEV(電気車)化が世界的に進んでいるが、水素車(燃料電池車)は日本が一歩進んでいる感がある。トヨタ自動車のSORAは都営バスや東京BRT(京成バスが運行)をはじめ各地で運行が開始され、量産車としての地位を確立しつつある。
一方、外国のバスメーカーもバッテリーを充電して走る電気車か、自ら発電を行いながら走る水素車かの判断をし始めているようだ。そんな海外の事情をオランダのVDL Bus&Coachの事例から紹介する。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】VDLの燃料電池モジュールを連結させるアイデア
水素の未来
VDLと聞いてピンとくる方は多くないと思われるが、日本ではかつて多く走っていたヨンケーレと言えば懐かしさを覚えるバスファンも多いはず。そのヨンケーレは現在はVDLグループの一員だ。同社の電動バスについての考え方を紹介しよう。
電気公共交通機関への移行において、現状は電気バスの大部分はバッテリーで駆動されている。電気駆動の別の形態としては、水素の使用を伴う燃料電池車である。
水素自動車は燃料電池を使い、自家発電する電気自動車のことで、バッテリー駆動のバスは今日の道路ではすでに見慣れた光景になっている。(記者注:欧州においてはかなり普及している)
世界的には水素駆動のバスはかなりまれな存在でる。しかし近い将来、電池式バスと水素バスが並行して運行されることが予想される。将来的には、バッテリー駆動車は主に小型車や特定の地域で使用されることになるだろう。水素車は長距離を移動する必要のある大型車両に適している。
VDL Bus&Coachは電気自動車の未来を形成するため、この形式の電気輸送の開発に全面的に取り組んでいる。モジュールを追加することにより、標準サイズの任意の車両に連結することができる。
水素を動力源とする車両には、水素タンクと燃料電池が必要で、水素は空気中の酸素を利用して、水の電気分解の逆の化学的プロセスにより電気に変換される。
この電気はモーターに供給される。このシステムでは水(水蒸気)が唯一の副産物になる。これにより排ガスを出さず低炭素社会に貢献する。