■西鉄のバス製造へのかかわりは続いている?
また西鉄車体技術株式会社が改造という点にも注目したい。今回は日野デュトロZ EVからの改造車だが、バスの車体を架装するコーチビルダーであった「西日本車体工業」、いわゆる「西工」を思い浮かべてしまうのだが、残念ながら西工は解散してしまったので全く別の会社である。
ただしその名の通り、西鉄系の会社で現在は完成車からの改造やレトロフィットやメインテナンスを主に手掛けている。時代も変化し往年の西工車の面影はないものの、西鉄が間接的ながらもバスの製造にかかわり続けているのは、ファンとしてもうれしいのではないだろうか。
■バス自動運転体験
続けて筆者は会場内で行われた「自動運転バス試乗体験」に参加した。愛知県国際展示場の建物出入り口で乗車の受付を行っていた。筆者は事前に予約を済ませていたが、ネットでの受付は開始日に全て埋まってしまうほどの人気で、この日もキャンセル待ちで何人か並んでいた。
時間になり外へ案内されると、バスが待機していた。試乗体験をするバスには、運行を企画した先進モビリティ株式会社の文字と、大きく「自動運転実証実験中」と書かれた文字が目に飛び込んでくる。空いている席に座ると車両の説明が始まり、その後いよいよ走行開始となった。
今回の試乗はLevel2での自動運転バスの試乗体験で、先進モビリティ所属でBYD製の日本向けEVバス「J6」が使用された。自動運転バスの実証実験は2017年から行われており、これまでに総走行距離は60000km以上、総試乗70000人以上という実績があるのだという。今回は会場である愛知県国際展示場の敷地を1周するコースとなっており、約2.3kmの距離を約10分ほどで走行した。
運転席後ろの画面には自車の位置や状態が表示され、また3次元地図により表示された周囲の障害物や走行ルートの位置など改めて自動運転技術のレベルを知ることができた。実際に乗車した感じとしては、まだよくある自動運転車のぎこちない動きがある。
よって人が運転する滑らかな発進、停車、旋回などとは程遠いようにも思えたが、加減速については手動運転のそれに近くなってきており、まだ大量輸送には遠いが着実に経験と実績を積んでいるのは理解できた。
■経験を積んで大型バスでの大量輸送につなげられるか?
またバスの動きが他の場所からも分かるように、会場内の技術展示として自動運転バスと、その遠隔監視システムが展示されていた。大きなディスプレイには走行ルートが地図上に落としこまれており、走行位置や車載カメラの画像も転送されていた。
カメラモジュールは車外に6台、車内に1台の合計7台あり、画角200度の魚眼レンズにより撮影された画像はデジタル処理されていて色再現性等に違和感がないように、また画像の重複部分を削って1枚の統合されたものを出力でき、保存容量の削減にも役立っているという。今回は稼働台数が1台だったが、複数の車両を一括して監視することも可能だという。
今回は愛知県で開催された「人とくるまのテクノロジー展2024 NAGOYA」についてレポートした。平日開催のイベントはどうしても関係者メインの展示会であるため、開催情報の入手や来場登録等でハードルが高く難しい面もある。しかし新しい技術が一堂に会する場なので、興味があれば見学してみてはいかがだろうか。
特にバスに関しては喫緊の課題である運転士不足や、それにともなう減便や廃止という問題があることから、自動運転やアシストに関する技術は今後さらに発展し、研究が進んでいくと思われる。
【画像ギャラリー】自動運転によるバス大量輸送にはまだ遠いってマジ?「人とくるまのテクノロジー展2024 NAGOYA」取材レポート(16枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方