となりのトトロのネコバスってバスマニア的にどう!? 真剣に考えてみた

鉄道会社系バス事業者か?

1991年にデビューした日産バネットセレナは、その外観からオーナーやふぁんに親しみを込めて「ネコバス」と呼ばれていた
1991年にデビューした日産バネットセレナは、その外観からオーナーやふぁんに親しみを込めて「ネコバス」と呼ばれていた

 さらに、サツキが1人で乗車した際に着座すると、シートはかなりの“フワフワ感”が表現されている。モケットやレザーではなく豪華な毛皮仕様だ。一方、姉妹が迎えに来た草壁タツオは「東電鉄バス」という事業者のボンネットバスでバス停に降りる。方向幕は[七国山]、車番は[東-74]。完全に一般の路線バスだ。しかも鉄道系事業者なので大手といえるだろう。

 このバス用に設定されたバス停に件のネコバスが停車し、トトロという乗客の客扱いをするということは、東電鉄バスとネコバスが共同運行しているという会社でないと、ネコバスが違法運行ということになってしまう。

事業形態は貸切か特定か?

 ただしネコバスが特定輸送や貸切運行の場合であれば、バス停を“目印”にしてトトロと“待ち合わせ”をして乗車させた、という解釈もできる。ネコバスには料金収受設定が無いようなので、バス停に停車し、客扱いをしたものの“一般路線”のような“乗合”ではないようだ。

 ということで、特定か貸切としてもバスはバス。さらに草壁メイが仮退院できなくなってしまった母・草壁靖子の元へ、トウモロコシを抱えて向かうつもりが迷子になってしまい、サツキがトトロに助けを求め、トトロがネコバスを呼ぶあたり、貸切かデマンド輸送であるとも推察できる。

幕が用意されるほどお得意様か?

ネコバスが猫だったら、ちょうどこんなカラーリングか!? ネコの持つ俊敏さや柔軟さが物語でも大きな武器となっていた
ネコバスが猫だったら、ちょうどこんなカラーリングか!? ネコの持つ俊敏さや柔軟さが物語でも大きな武器となっていた

 後、トトロがネコバスにサツキを乗せて、迷子になったメイの元へ向かわせる際には、ネコバスの方向幕(巻き取り幕式)が[めい]という表示になる。貸切バスに方向幕があっても別に良いのだが、LED式表示器のように、パソコン端末で打ち込むならともかく、幕式は事前に印刷が必要な機材なので、この状況になる以前からこの幕は用意されていたことになり、貸切の営業先として草壁家が対象になっていたと考えられる。

 そしてサツキを乗せたネコバスは、田園遅滞を疾走して無事にメイの元に到着するのだが、この時に関わらず、とにかくその走行性能が卓越している。山をひと跨ぎしたり、電線の上を軽快に走ったり、大木のてっぺんに上ったりと、10本足のバスであるなら当然の走行性能と走破性なのかも知れないが、この移動っぷりはまるで漫画だ。高速路線バス運用でも十分通用する実力だ。

 物語の終盤で、無事にメイが保護され、その勢いでサツキも乗せて靖子が入院する病院へ、依頼もなくサービス運行するネコバスだが、その際も方向幕は[七国山病院]と表示される。前述のように、草壁家のニーズが予定されていたかのような設定だが、営業先・顧客を持つ貸切バスならアリだ。

考察の結論!

 ほか、劇中では[墓道][す][塚森]などの表記が見られるので、やはり貸切バスとしての運用を多く持っていると思われる。 ということで、ネコバスはバスとして活動しているので、少なくとも“貸切運用”としてであるなら、バスマガジン的には「バスである」という認定で差し支えないものと思われる。  

 さらに[となりのトトロ]公開時のキャッチコピーが「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。」そして「忘れものを、届けにきました。」とあった。

 いずれもステキなコピーだが、“へんないきもの”はともかく“忘れものを、届けにきました。”というあたり、実はネコバスは「貨客混載」バスとして“荷物のお届け”業務も果たしていたのではないか、という邪推もできるので、皆さんの推理や仮定でエンターテイメントとして楽しんでいただきたい。

最新号

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

バスマガジン Vol.126は9月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、東急バスを特集。東京都から神奈川県において都市部から住宅地、田園地帯まで広いエリアを綿密なネットワークを展開、さらに高速路線バスやエアポートリムジンも大活躍。地域住民の足としてはもちろん、首都圏の動脈ともいえる重要な存在だ。  続く特集は、ついに日本に上陸しさらに種子島での運行が決まった、ヒョンデの電気バス[ELEC CITY TOWN]の試乗インプレッション。日本におけるヒョンデの本拠地である横浜・みなとみらい地区で、徹底的にその性能を確認した。  バスの周辺パーツやシステムを紹介する[バス用品探訪]では、なんと排出ガスからほぼ煤が出なくなるというエンジンオイルを紹介。この画期的な商品「出光アッシュフリー」について、出光で話わ聞いてきた。  そして後半カラー特集では、本誌で毎号、その動向、性能を追跡取材してきた「カルサンe-JEST」。このトルコ製小型電気バスがついに、運行デビューを果たした。その地は長野県伊那市と栃木県那須塩原市。今後の活躍が期待される出発式を紹介する。