新型コロナの影響で日本でもバスの感染対策は進んでいる。たとえば運転席周りのシールドやエアコン機能の強化、窓開け運行等々だ。ドイツのMAN社では運転手の安全が最も重要で、結局のところそれが旅客を守ることになるとの思想でさまざまな取り組みや施工、オプションを用意している。ドイツの記事から海外の事情を読み取る。
文/編集:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】ネオプランをはじめとしたMAN社のバスにはさまざまな感染防止対策がが施されている
MAN社の思想とは?
バス運転手は社会的に重要な労働者だ。コロナウイルスの危機によって明らかになったことがある。運転手は就業中に多くの人と接触するため、感染リスクが高くなる。そのため運転手を保護するために、ドイツでは都市封鎖中に一時的なスクリーンが取り付けられたようだ。これは日本でも同様だ。
しかしあくまでも一時的なもので、視認性を損なうことが多いプラスチックフィルムや窓の開放をともなうものであったために、恒久的な解決策にはなり得なかった。 そのためMAN社では、視界を制限せずに交通安全を損なうことなく感染を防止するために、ドライバー向けの特別な衛生的保護スクリーンを開発した。
担当者は「スクリーンは天井まで届き運転席を助手席エリアから分離するため、運転手と乗客の双方を保護します。私たちにとってこれは重要なことで結局のところ、乗客を目的地に運ぶために毎日出かけるのはドライバーです」 と述べた。
さまざまなインストールオプション スクリーンには密閉バージョンと運賃箱開口部がある2バージョンがある。MAN社では、認定された強化安全ガラスで作られたハイスクリーンをすばやく取り付けることができ、路線バスや都市間バスのすべてのボデーを改造することができる。
このスクリーンは工場出荷時およびアフターセールスからの改造に使用できるので日本風に言えばメーカーオプション、ディーラーオプションどちらでも対応可能ということだ。またプラウエンのMANバス改造センターと協力して、必要に応じて旧モデルでも個別の改造を引き受けるので、純正オプションの後付けも可能という。
さらに、MANライオンズコーチおよびNEOPLANツアーライナーシリーズの運転席の後ろのバリアを衛生的なスクリーンに換装することも可能だ。 このスクリーンは、バス会社やMANパートナーと緊密に協力して開発した。特に現在施行されている厳格な規制がいつか緩和されるだろうことを考慮すると、恒久的な解決策は早い方がよく関心は高かったようだ。
トップドア車での乗降は、少なくとも運転手にとっては、より多くの延べ旅客数と接触することを意味し、コロナウイルスやその他の感染症からの保護は旅客を含めた関係者全員の利益になるとの思想だ。