元航空機メーカーの技術を持った小型トラックシャシーを転用した小型バス「日産 エコー」を当時のカタログで見る

元航空機メーカーの技術を持った小型トラックシャシーを転用した小型バス「日産 エコー」を当時のカタログで見る

 エコーの初代は2t小型トラックのシャシーを流用し、1959年に新日国工業(1962年日産車体工機株式会社、1971年に日産車体株式会社と改称)で誕生した小型(マイクロ)バスだ。何度かのマイナーチェンジを経た1966年当時の貴重なカタログをご覧いただこう。

●車両データ:日産 エコー GC240(GQC240)、GHC240(GHQC240)

(記事の内容は、2023年3月現在のものです)
執筆/バスマガジン編集部 カタログ提供/難波 有
※2023年3月発売《バスマガジンvol.118》『懐かしバスのお宝カタログ』より

■カタログ車の製造年月は約5年間……シビリアン登場までのラインナップを繋ぐ存在だった

GC240型・日産エコーの当時のカタログ。アーティスティックな構図の写真と、ニキシー管を模したあしらいにデザイナーの個性が光る
GC240型・日産エコーの当時のカタログ。アーティスティックな構図の写真と、ニキシー管を模したあしらいにデザイナーの個性が光る

 このモデルは1489cc/57ps、定員17名、全長4590mmというスペックのKC42型として登場。

 1960年のマイナーチェンジにより、GC140型の日産キャブオール マイクロバスに形式変更。1961年にはGC140型の日産キャブオール エコーとなり、同年6月にエコーという名称になった。

 その後も細かくマイナーチェンジが繰り返され、乗車定員の増大、エンジンのハイバワー化などによる走行性能の向上が図られ、この世代は1966年まで製造された。

 1966年にこのカタログのGC240型・日産エコー(短尺車・21人乗・ガソリン)が登場する。

 前モデルからボディスタイルをガラッと一新。東京オリンピックに伴う高速道路建設と相まって、長時間の高速連続走行という、新しい自動車の使われ方が意識され、時代にふさわしい近代的でシャープなデザインとなった。

 カタログでは都会的なイメージを押し出した写真や、楽しいレジャーシーンといった新時代の豊かな時代背景をアピール。また走行性能の良さを押し出したワインディングロードの走行シーンなど、自動車全体の使われ方に大きな変化があったことがうかがえる。

 一方で冷房車の存在がまだ特別だった時代にあって、冷房用エンジンを搭載したモデルもカタログアップ。冷房用には、なんと当時1000ccだった日産サニーのエンジンを搭載、追加機能として冷蔵庫も装備していた。

 現在と同様、小型(マイクロ)バスの利用範囲は広く、ビジネスやレジャーばかりでなく、幼稚園送迎バスや医療診療車といった特装車の提案もカタログレベルで行なわれている。

 なおカタログでは[ニッサン エコー]という表記が使用され、諸元表では標準仕様として26人乗りと21人乗りの2種のボディが紹介されている。それぞれ全長が5300mm、6210mmでいずれも1982cc/92psのガソリンエンジン、2164cc/65psのディーゼルエンジンが選べた。

 1970年にグリルのデザイン変更、車内でも運転席をハイバックシート化するなどのマイナーチェンジが行なわれ、さらに客席シートにヘッドレストを装備、前面熱線吸収ガラス採用のデラックスグレードが追加された。

 そして1971年にGHC240型、「市民の足となり、市民に愛されるマイクロバスという」思いが込められた「シビリアン」へとフルモデルチェンジしたが、2021年、シビリアンも製造終了となった。

【画像ギャラリー】豊かな時代の新たな利用シチュエーションを提案する日産 エコーの貴重なカタログ(11枚)画像ギャラリー

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