今回の乗りバスレポートは都営バスの「亀26」系統だ。路面電車時代の伝統を継承した「なぜここが終点?」と思わせる路線なのでまずはびっくりの始発地での乗車方法からレポートする。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】都営バス「亀26系統」の今井のバス停の位置が変だぞ?(15枚)画像ギャラリー城東電気軌道の系統を引き継ぐ路線一つ
この路線はかつての路面電車である城東電気軌道(後に都電へ吸収)の一之江線(今井橋-東荒川)を荒川を超えて亀戸まで延伸したようなもので、当時の都電系統番号は26系統。よって本路線は亀26を名乗っている。
その後、都電は廃止され代替輸送機関としてトロリーバスが上野公園-今井間を結び、さらにトロリーバスが廃止されると系統は亀戸で分断され、今井側が亀26系統として現在に至る。担当営業所は都営バス江戸川営業所臨海支所だ。
そんな「今井」とは江戸川区と千葉県市川市を結ぶ今井橋の江戸川区側にあり、亀26系統の今井停留所だけは他の系統とは違い、折り返し施設とともに設置されている。都営住宅の下の部分が都営バスの折り返し場であり、その構内に亀26系統専用のバス停がある。
バス停が変だぞ?
写真をご覧いただくと少し変なのに気が付くと思う。左側通行の日本においてこの位置関係で停留所が設置されるのは通常はない。
実際に折り返しのバスが建物の下を回って停留所に着くと、停止線がありその前が横断歩道のようになっており乗客はバスが停止して扉が開いたのを確認してからバスの直前を通って乗車する。「バスの直前直後の横断は大変危険です!」は車内放送の常識ではあるが、ここではそれが正式な乗車方法だ。
まだ江戸川区?
今井を出発したバスは今井街道を都営新宿線の一之江駅を経由して京葉交差点を目指す。かつてのメインストリートであった今井街道は現在でも交通量は多いが、主に住宅街をなしかつての賑わいは感じられないようだ。
途中で中川と荒川を渡るが江戸川区と江東区の区界はここではない。2大河川を渡ってもしばらくは江戸川区だ。荒川を渡り小さな川である旧中川を渡るがこの川が区界だ。注意していないとわからないくらいの小さな川だが、公共施設の案内看板が江戸川区から江東区に変わるので道路標識ではなく車窓からわかる。
この区間は錦25系統に代表される幹線系統のバスとの重複路線になるので乗車チャンスは多い。錦糸町に行く人は錦25系統に乗るが、亀戸駅前まで乗り入れるバスは亀26系統だけだ。ただし亀戸駅は1つ手前の水神森バス停も利用可能なので、ここでの乗降も多い。