神戸ベイエリアや姫路城を擁する兵庫県は、島を除いた東西を他の府県に挟まれ、南は瀬戸内海、北が日本海と、南北でそれぞれ異なる2つの海に面したユニークな位置関係を持つ場所だ。
文・写真:中山修一
(兵庫県バス縦断チャレンジの行程写真付きフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■県内を出ずに南北縦断
そんな“上と下”がハッキリ分かれた兵庫県のマップを見ていて、ふと、これって瀬戸内海側〜日本海側を移動しようとしても、県外に出なくて済むんじゃない? と思った。
しかも、2つ以上の海が1つの県内で繋がっている、といった条件に当てはまる場所も、本州には決して多いわけではなく、やってみたら物珍しいフレッシュさと共に刺激的な体験ができそうな気がしてきた。
どの移動手段を使うか…マイカー/レンタカーはともかく公共交通機関に限るとして、JR各線なら南北縦断ルートが確実に存在する。
とはいえ、ここであえて注目したいのは路線バス。路線バスで長い距離を移動する場合に立ち塞がる、最大の障壁といえば県境だ。
最近は県境を越えてくれる路線バスの数が全国的に少なく、県と県の間の「見えない壁」をどうやってよじ登るかが思案のしどころになっている。
兵庫県内の瀬戸内海側〜日本海側までは直線距離で120kmほど。これを道伝いに進めば更に距離が伸びると思うが、すべて兵庫県内に収まっているのが注目のポイント。
県境越えがない、ということは、兵庫県内での営業免許を持っているバス会社なら、県内にある何十キロも離れた街同士を、直通で結ぶバスだって運行できるハズ。
だとすれば、路線バスでも1回の乗車で纏まった距離を進みつつ、それほど苦労しないで南北縦断できるのでは? と目論んだわけだ。
■簡単に行ける…よね?
今回は瀬戸内海側→日本海側の方向に進むとして、バス移動のスタート地点は、あまり小難しいことは考えず、神戸エリアの中心地である三宮(三ノ宮)にしときましょ。
日本海側へは、ひとまず豊岡のあたりを目指すのが良さそう。そうなると三宮→豊岡まで行くバスを探すのが先決だ。
三宮側のバスの数は迷うほどに膨大で、それほど現地のバス勘もないため、取っ掛かりをどう掴むかが大変。少々考えて最もセオリー通りな、「三宮→豊岡」でダイレクト乗換検索をかけてみた。
すると真っ先に提案されたのが高速バスを使う方法。これなら乗り換えなし3時間くらいで行けるとある。
今回はまあ、県外に出ないなら高速バスを選んでも良いけれど、かといって行程の大部分を高速バスに任せてしまうと、今度は簡単になりすぎるか。
それに、県内完結型で長い距離を走る普通の路線バスが実在するかどうかも確認しつつ、あれば乗ってみたいところだ。
そう思って検索条件から高速バスを除外してリトライしてみて表示されたのが……
「検索条件に合う経路が見つかりませんでした」
……路線バス旅には何気につきもの・乗換検索にギブされた。え? 兵庫県から出るつもりないのに、普通の路線バスだとそんなに行けないものだったの!?
もう少し目的地を三宮に近づけて検索をかけても、満足の行く結果はほとんど得られず。もしかするとこれ、乗換検索とか時刻表・個別の路線図はもとより、GTFSデータレベルで向き合わないとダメな話かも。
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