記者はバス業界を外側から取材してきたが、富士急グループのフジエクスプレス東京営業所に臨時運転士としてバイト入社した。バス運転士日誌として一人前になれるかどうかの連載、本稿は新任運転士研修後のごまかしがきかない運転の精密測定の模様をお伝えする。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■日帰りでまた山梨へ!
山梨県で行われた富士急グループのバス事業者合同で行われた新任運転士の研修から翌週に日帰り研修でまた山梨に出向くよう社命が下った。あらかじめわかっていたことだが、これは日帰りだ。
合同研修と同様に早朝の東京駅から自社便の高速バスに乗車して、教官が待ち構える中で山梨県の富士急バス本社営業所に到着した。先週まで訓練していた特殊な測定装置が積まれた日野レインボーが本日の相棒である。このレインボーで沼津まで行くのだ。もちろん記者が運転して行くのだが、路線車とはいえ一般道をダラダラと行くようなことはしない。高速道路を使用して沼津市までのクルージングだ。
富士急バスの営業所でアルコールチェックを受けて教官とあいさつを交わして、車両点検を行い出庫と相成った。この車両にはバスの挙動をすべて記録する装置が積んであり、デジタコのさらに上をいくセンサー類が満載なのである。そして視線入力のゴーグルが付けられるので、安全確認やどこを見ているのかについてはごまかしがきかない。
■高速道路を走行
有料道路と高速道路を乗り継いで沼津市まで走る。訓練車の日野レインボーはマニュアル6速車でターボ付きだが、路線車なのでギア比の問題でそれほど速度は出せない。時速80キロメートルが限界であろうか。
パーキングエリアでの休憩をはさんで沼津市街地に到着する。高速道路はそれはそれで緊張するのだが、市街地では他の交通や歩行者が多く、むしろ注意力が必要になる場面だ。
■指示された市街地コースを走行!
沼津駅に到着して、教官の指示通りに市街地を走る。停留所に停車するわけではないが、交差点や信号のない横断歩道、見通しの悪い急カーブや狭い道路から幹線道路に曲がる等々のいわゆる運転しにくいシチュエーションでコースが組まれている。
あらゆることに注意を払いながらも、測定装置は記者の視点や車体のデータを取り続けている。見たと言い張っても通用しない客観性のあるデータが蓄積されていくのだ。
■走行を終えて講評を聞く
一連の走行を終えて、教官から取られたデータに基づいて講評が伝えられる。致命的な指摘事項はなかったようだが、今後注意した方が良いことを教えてもらい、また高速道路を経由して山梨へ戻った。
パーキングエリアでの休憩以外に美しい富士山を眺める余裕はなく、大型車よりも一回り小さいタイヤを装着した中型車は高速走行にはハンデがあるが、無事に富士急バス本社営業所に戻り、再度アルコールチェックを受けて自社便の高速バスで帰京した。
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