伊勢市にある神宮の昨年の参拝者数は外宮と内宮を合わせて754万人と非常に多くの人が訪れている。そして伊勢市が沸き立つのが20年に1度の「式年遷宮」である。令和15(2033)年に行われるのでまだ8年先の話ではあるが、すでに神事はスタートしている。今回はそのうちの1つを見てきたので、その様子をお届けする。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■式年遷宮とは?
まず伊勢神宮と式年遷宮について説明する。伊勢神宮は地名の伊勢を付けて呼ばれるが正式名称は「神宮」である。内宮(皇大神宮)は天照坐皇大御神(天照大御神・アマテラスオオミカミ)、外宮(豊受大神宮)は豊受大御神(トヨウケノオオミカミ)を主祭神とし、合わせて「お伊勢さん」とも呼ばれる。古来から最高かつ特別格の宮とされ、現在では神社本庁の本宗であり、「日本国民の総氏神」とされている。また神宮というと内宮と外宮の2つが思い浮かぶだろうが、正確には伊勢市とその周辺の125の神社の総称である。
神宮でも大きな祭事であるのが式年遷宮だ。20年に1度、定期的に行われる遷宮で内宮・外宮の正宮の正殿をはじめ、別宮などの正殿を造り替える。また内宮につながる宇治橋も架け替える。最初の式年遷宮は飛鳥時代に天武天皇が定め、持統天皇4年(690年)に第1回が行われたという。
その後、戦国時代で中断や延期があったが、前回2013年(平成25年)の第62回式年遷宮まで、およそ1300年間絶えることなく行われている。そして次回の第63回式年遷宮は2033年で、最初の祭事となる山口祭は2025年5月2日の行われた。遷宮に必要な御用材と呼ばれる木材を運ぶが、その最初の1本目は御神体を納める御器「御樋代(みひしろ)」の材料であり、最も重要・丁重に扱われる特別な役木である。今回はその奉曳(ほうえい)を見てきた。
■神事はバスをも止める!
近鉄宇治山田駅に到着し、三重交通に乗車して会場の近くまで移動する。バス停の時刻表を見ると少々の待ち時間で来るようだった。乗り場近くにはデジタルサイネージが設置され、行き先や乗り場案内や接近情報、バスの種類などもイラストで詳しく描かれているので、どのようなバスが来るのか分かりやすくなっている。
バス停には本日に限り…のような注意書きのラミネートシートが貼り付けられていて、その内容は奉曳の時間帯にルート上を走ることになっているバスは、対象の停留所を通過するという説明だった。運休ではないが、降車予定のバス停が通過だと困るので注意したいポイントだ。
■無線を使用して神事の進行状況を確認!
バスはしばらくの停車の後に発車した。車内は筆者を含めて2人とのんびりしたものだ。途中の伊勢市駅バス停で数人の乗車があったが、ここですぐ発車せずに運転手は無線で連絡を取り始めた。しばらく待っているとアナウンスがあり、どうやらこの先の停車するバス停について変更がないかどうか、祭事の行列がどこまで来ているか確認をしていたようだ。
予定通り祭事も進んでいるということで、なんとか通過するバス停もなく運行できるようだが、行程に変更があればその都度連絡するということだった。その祭事を待ち構えるには通過予定のバス停の手前で降りる必要があるのだが、このまま通過となると戻らなければいけないので、筆者は予定していた1つ前の「宮町」バス停で下車することにした。
外はまだ雨の続く中、傘を広げて県道を歩いていく。向こう側から行列が見えてきたので、あのまま乗車していたら通過になっていたかもしれなかった。
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