首都圏以外の地域へ出掛けると、都内では見かけなくなった路線バス車両がまだまだ活躍している姿を多く目にする。珍しい車両を見かければ、ついつい記録に残したくなるというのが心情だ。
文・写真:橋爪智之
構成:中山修一
■古い車両なら地方都市に限る!?
筆者は最近、日本でも海外でも、バスを見るとついつい記録してしまう癖が付いてしまった。もちろん、当コーナーのネタを考えてのことだが、プライベートの旅行や乗り換えの待ち時間ですら、ついついバスを目で追ってしまう。
実家が都内の筆者にとって、東京やその周辺の首都圏エリアは、車両も見慣れたものばかり……と言うより、新車への入れ替えペースが比較的早いうえ、排気ガス規制も地方都市より厳しい条件であるため、古い車両をほとんど見かけなくなってしまい、バスターミナルに並ぶ車両を眺めれば、エルガやエアロスターばかり。
一方で、首都圏以外の地域へ出掛けると、都内では見かけなくなった車両がまだまだ活躍している姿を多く目にする。熊本市も、都内では見かけないような車両を見られるのでは?という期待を抱きつつ訪問した。
プライベートの訪問が多いため、基本的にあまり下調べをせず、行き当たりばったりで訪問していることが多いが、熊本市には、ブルドッグの愛称で親しまれた三菱ふそうMP118がまだ現役で残されている、という話をよく耳にする。
これは是非とも拝んでみたいものだが、ほぼ貸し切り用途になっているようで、アポなし突撃しても見られないだろうと今回はパス。
いつも通り、駅前やバスターミナルに張り込んで、一般的に運用されている現役の車両を撮影してみることにした。
■日本最大級のバスターミナル
熊本市内でバスウォッチングに最適なのが、市の中心部に位置する、日本最大級と名高い熊本桜町バスターミナルだ。
地元の九州産業交通のグループ会社である九州産交ランドマークが運営しており、乗り場(ホーム)の数、乗り入れ路線数、乗降客数などはいずれも日本一とのこと。
高速バスと一般路線バスの合算とはいえ、バスタ新宿や福岡天神高速バスターミナルといった横綱級のターミナルを抑えての日本一というのは恐れ入る。
複合商業施設「SAKURA MACHI Kumamoto」と一体で整備され、超近代的な建物の外見を見ただけでは、そこにバスターミナルがあるとは分からない。
ちなみに、バスターミナルは商業施設の下(地上階)にあり、実質的には地下にあるのと変わらないため、出入りするバスを観察するのであれば、建物内へ通じるトンネルの前で待っていた方が良い。
面白いように、数秒~数分ごとにバスがトンネル内へ吸い込まれ、また吐き出されていく。
さて、本題の熊本市で見られるバスだが、一般路線バスは産交バス、熊本バス、熊本電気鉄道、熊本都市バス(元熊本市交通局)の4社が乗り入れる。
高速路線バスは西日本鉄道を筆頭に、長崎市交通局や鹿児島交通など、九州内各都市からの乗り入れも見られる。本州からの夜行便は、神戸三宮、大阪、京都行きのサンライズ号が発着している。
メーカーは三菱、いすゞ、日野、日産のディーゼル4社の車両がいずれも見られ、高速バスにはヒュンダイ・ユニバースも見かけたが、事業者によっては前世代の古い車両も見られた。
中でも産交バスは、今の国内では年々希少となりつつある、初代日野ブルーリボンやいすゞキュービックのLV280/380系、車体で言えば富士重工7Eや西工96MCボディの車両も多く残っており、一昔前の都市部を彷彿とさせる。















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