バスの行先を示す方向幕は最近LED化が進んでいて、ファンにとっては寂しい限りだ。方向幕の世界では、昔ながらのモーターでスクロールする様々な地方の方向幕をご紹介中だ。
沖縄県の大手事業者の方向幕の特徴として系統番号・経由地を必ず書く、系統番号は事業者ごとではなく重複しない、前面のみの方向幕が多い、などがあげられる。今回は沖縄本島の4大大手事業者の方向幕を解説する。
ぜひ画像ギャラリーも一緒に楽しんでほしい。
※トップの写真は2015年4月に営業を終了した旧那覇バスターミナルで、2003年5月30日に撮影されたものです。現在は2018年10月にオープンした、「ゆいレール」の旭橋駅に直結している新しい那覇バスターミナルが利用されています。
文/写真:高木純一(バスマガジンvol.92/2018年刊より)
【画像ギャラリー】新旧勢揃いの魅力は車両だけじゃない!! 沖縄県の方向幕
市内線は丸囲みの系統番号で前3面使用している那覇交通(現那覇バス)
現在は第一交通グループになった元那覇交通は、沖縄では一番色使いが多い事業者だった。今でも市内線と郊外線と車体色も用途・仕様も分かれており、方向幕も線区専用幕である。
市内線は丸囲みの系統番号で前面・側面・後面と3面使用している。系統番号が緑色、経由地が赤または黒、行き先が黒で構成されているが郊外線に比べて経由地の記載が多くはなく側面幕も前面、後面とレイアウトは同じになる。
郊外線は系統番号がオレンジ色になり一部系統は青色もある。経由地が3つ以上縦書きで書かれる。郊外線は後面幕を使用している車両が少なく市内線はバーコード検知の番号設定式だが郊外線は手動で動かす方が多かった。
S-light(現レシップ)製の方向幕と巻き取り機を採用していたが、中古車は幕を車両に付いている表示機に合わせるようにしていた。
スプレー塗料等で描いた幕もある琉球バス(現琉球バス交通)
こちらも現在は第一交通グループになった琉球バスの方向幕は、大きく分けて2種類の幕がある。ひとつは完全印字幕である青幕、もうひとつはスプレー塗料等で描いた幕。
印字幕は自社発注車に付いている事が多いが前面小型幕で青幕は無い。スプレー文字幕は形板をあてて文字をスプレー吹き付けで書いていく幕で比較的コストのかからない幕である。これは側面行き先のサボ(サイドボード)や前面系統番号板と共通で作成できる利点がある。
ただ色を多用できない点と文字に形板の支え線ができてしまうのが難点であるが、カッティング文字のように数を注文しなくていいのは経済的なやり方である。
自社発注車は東洋ライト工業製の巻き取り機を採用しているが中古車はやはりその車両に合わせて幕を付けている。以前は側面幕も存在したが前面幕のみしか無く目押し電動式になっている。