日中は天神経由がほとんど
ラッシュ時は博多バスターミナルから北上し、すぐに都市高速に入る路線もあるが、日中はやはり福岡市の中心地である天神地区は外せない。乗車した503番は壱岐営業所5946の西工・日産ディーゼルのスペースランナー。天神北ランプから都市高速に入り、愛宕ランプで一般道に戻る。
ここからは福岡市早良区や西区の住宅街をきめ細かく停車し、終点の野方に到着する。西鉄の営業所はバス停併設の場合は営業所名が停留所名になっている例と、営業所名ではない地名が停留所名になっている例がある。野方は後者だ。
野方に2回停車?
終点の前に「野方」バス停があり、最後に停車するのも「野方」だ。バス停名もそうなっているが、車内放送では野方・壱岐営業所構内と案内された。
壱岐営業所構内バス停は構内停留所と路上停留所の2か所があり、出発する方向により使い分けられている。待合室があり、nimocaのチャージ機やバスロケシステムが完備され、高速バス乗り場のような立派な待合室だ。
博多駅に戻るバスは最も早く乗車できる526番にした。行先は都市高速・天神経由博多駅行きなので往路に乗車した503番と同じだが、都市高速に入るまでの経路が全く異なる。
これが西鉄流の路線バス設定の方法だ。最寄りの駅までの路線に絞りフィーダー線として設定するのが一般的で、都心部までの交通は地下鉄や鉄道に任せてしまうのだ。
もちろんそういう路線もあるが、多くの人が住宅地から地下鉄に乗り換えて天神や博多駅に行くのであれば、バスでそのまま都心部に送り込むという思想だ。
そのために住宅地で丁寧に拾い終わったバスは都市高速に入り一気に天神を目指すのだ。このために同じ野片発着でも近隣住宅地の分だけ路線が存在するという具合だ。他の団地や住宅地でも大体似たような構造になっている。
地下鉄駅に停車するが乗車は多い!
526番は都市高速に入る前に地下鉄の姪浜駅南口に停車する。普通ならばここで大勢の乗客が降車して地下鉄に乗り換えるだろう。そういう乗客ももちろんいるが、駅から乗車する人も多い。
フリー系定期券の関係もあるのだろうが、天神や博多駅に行くのに地下鉄ではなくバスを選択する人も少なくはないことが分かる。
このように都市高速を経由するバスが圧倒的に他の都市と比較して多いのは、乗り換えなしで都心部に送客しようという西鉄の哲学なのかもしれない。
それゆえに福岡でも北九州でも都心部では市内のあらゆる住宅地から乗り入れてきたバスが集中し、おなじみの「福岡市内の中継映像には必ず西鉄バスが映りこむ」状況が作られる。
他の都市とは少し違う路線バスの役割を演じているのが西鉄流だった。東京であれば23区内の住宅地から新宿や渋谷行きのバスが鉄道や地下鉄と並行して首都高速を走っていくようなものだろうか。
福岡で少し時間があれば6時間パスで乗りバスを楽しんでみるのも面白い。ちなみに博多駅から野方までの都市高速経由の運賃は530円なので、1往復で十分お得でズバリ1時間100円だ!
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