なんとトランクにまでハイテクシステムが潜んでいた!
一般的にダブルデッカー車のトランク容量は小さい。ボディーを目いっぱい客室に割り当てているので、トランクに割ける容積は大きくはない。トランクに荷物を入れるのは事業者により異なるが、運転士やターミナルスタッフの場合もあれば、乗客がセルフサービスで入れる場合もある。
トランクを開扉したときに注意喚起のアナウンスがトランクルームの中で流れる場合は同社のシステムであることが多い。運転士にしても乗客にしても、収納や走行時の揺れに対する注意や免責を注意喚起する。
フジエクスプレスの場合は外国人の利用も多いことから、多言語で注意喚起が流れる。このような預託手荷物に対する損害は免責なのが普通だが、そうならないように積み込み時に乗務員と乗客双方に注意を促すアナウンスは日本的な親切なのかもしれない。
運転席まわりには機能に徹した隠れた業務用機器!
運転士は自動放送装置の操作を行い乗客に対する案内を行うが、その装置もレゾナントが担当している。コンピューターで音声そのものを生成して流す(音声合成)か、あらかじめさまざまなフレーズをナレーターに録音してもらいそのデータをつなぎ合わせて流す(合成音声)かの二択である場合が多い。
ほとんどの案内は自動放送で事足りるが、運転士が補足の案内や挨拶を肉声で行うことも多い。当然ながらマイクを使用して増幅回路(アンプ)に送り、車内放送するわけだが、そのマイクも有線式と無線式が選べるようになっている。
取材したフジエクスプレスのスカニアバンホールには両方が設置されていた。通常の車内放送時にはプラグをさして有線式で流せばよいのだが、無線式は乗務員が降車して改札を行っている場合や、荷物の積み込みや積み下ろしを行っている際に役に立つ。運転士が運転席にいなくても案内放送ができる仕組みが備わっているわけだ。
実はマイクは一般でも購入可能!
これらの運転士が使用するマイクは業界内では「ワンマンマイク」というが、実はこれ、ネットショップで本物を売っている。マニアならば新品を手に入れたいところだが、同社のネットショップで様々なタイプのマイクが購入可能だ。
もちろん業務用でバス専用の機器に接続して使用するのを前提に作られているため、バスファンがオンラインミーティングでPC接続しようとしてもそのままでは使用できないし、3.5mmプラグではなく6.3mmであることも使用環境を考えれば当然なのかもしれない。
しかし多少の知識と技術があれば中身はエレクトリックコンデンサーマイクなので、動作電圧とマイクのインピーダンス(抵抗値)を確認し、配線とプラグの極性を整合させれば3.5mmプラグに付け替えて、あるいは変換アダプターを用いてPC接続することは可能だろう。お好きな方は自己責任で本物をお試しいただきたい。
これらの装置はすべて安全と快適のために!
同社のシステムは、安全なバスの運行と運転士の負担を軽減し、もって乗客が快適なバス旅を満喫できるようにという想いで製作されている。
もちろんバス車内のみならず、ターミナルでの案内装置やモバイル定期券のシステムも手掛けているので、バスに乗るときにはいつの間にか同社のシステムの中で過ごしているのかもしれない。
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