■奥伊勢PA
次の休憩地は紀勢自動車道にある奥伊勢パーキングエリアである。ここには18時前に到着した。やや長い20分の休憩である。同PAは大台町にある高速道路の施設でトイレのほか売店、フードコートと食事のできるスペースが備えられている。
規模は小さいのでやや物足りなさを感じてしまうが、高速バスの休憩時間という限られた中では移動に時間がかからないのでむしろありがたい。地域の特産品なども並んでいるので、ちょっと小腹がすいてきた頃に手軽に食べられるものがあるのもちょうど良い。
■名古屋に5分早着!
予定の発車時刻となり、バスは奥伊勢パーキングエリアを出発した。辺りはすっかり暗くなり車窓からの風景は楽しめそうにない。乗客はそれぞれスマホを手にしたり仮眠をとるなど、思い思いに過ごしているようだった。
乗車時には情報板に表示があった東名阪自動車道での渋滞情報も、当該区間に入る頃には解消されていたようで、特に渋滞に引っかかることもなく順調に進んでいった。筆者は自由席なのを利用して休憩地ごとに座る場所を変えて楽しんでいたが気がつくと愛知県に入り、名古屋高速道路を走行していた。窓を見ると名古屋駅エリアの高層ビル群の夜景が見えてきた。
目指す終点は間もなくだ。白川インターで高速を降りたバスはその先の交差点でUターンして名鉄バスセンターへと向かう。前方には同じ三重交通のバスも見える。最後はランデブー走行でスロープを上がり、定刻より約5分ほど早く名鉄バスセンターに到着した。
■移動の選択肢として活用してほしい
今回は三重交通の高速バス「名古屋南紀高速線」で熊野市から名古屋市までの様子をお届けした。三交新宮駅前からだと5時間を超える乗車時間であるが今回は熊野市から、しかも途中一部のバス停を通過する急行運用のバスを利用したため実際の乗車時間は約4時間であった。
単純に4時間を座席で過ごすと聞くと苦痛に感じるかもしれないが、車窓で南紀地域の自然を見ていれば流れていく時間も忘れてしまうほどである。ただ少し気になったのは乗車率だろうか。せめて半分くらい埋まっていると観光や移動の手段として認知され選択肢に入るのだが、現状ではこの路線がこのまま存続できるかどうかが心配である。土曜日の名古屋行きという点を考慮しても心もとない。
折りしも先日、松阪駅前から三交南紀を結ぶ「松阪熊野線」が利用者数の低迷から3月末をもって遂に廃止となった。路線バスではあったが、その前身は1970年に松阪市と和歌山県那智勝浦町で運行の始まった「南紀特急バス」である。
現在は高速バスのほかにJR東海の特急「南紀」も名古屋と東紀州・新宮を結んでいるが、運賃はJR東海の特急「南紀」が指定席利用で7530円なのに対し、高速バス「名古屋南紀高速線」は4200円なので、選択肢の1つとして貴重な路線のはずだ。三重県を縦断する路線で車窓から見られる四季折々の美しい景色をぜひ楽しんでいただきたい。
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