■専門知識が試される?
さて、ここまで書いて「最初はどうするの?」と思ったマニアの方はさすがだ。バスは運転席に座りキーを回してもエンジンはかからないどころか、電装系は何も動作しない。
つまりキーがあってもバスは動かせないのだ。バスを起動させるにはまず最初にバッテリーとの電気的な回路を接続しなければならない。これが「メインスイッチ」である。
当地に置いてあるジャーニーKも外部からAC/DCコンバーターで直流24ボルトの電力を供給しているとはいえ。そこはマニアにも納得の主電源回路はメインスイッチに接続されているので、メインスイッチを操作しないと何も始まらない。
もちろん東海バスが用意しているジャーニーKの取扱説明書ファイルには明記されているので「素人」の方でもお子様でも楽しめることは当然だが、ここはマニュアルを見ずに起動できるかがマニアの知識力が試されるところだ。
ちなみにこの年代のバスであればメインスイッチは運転席だけではないのでご存じの方は試していただきたい。ただし、後に利用する方のために、運転席外のメインスイッチを操作した場合は必ず戻しておこう。
■好きな方向幕を出してバスで寝る!
記者はバスで寝たのだが、後方は3台のベッドが置かれているのでどこでも好きなところに寝ればよい。ただしマニアの方であれば、「寝るならベッドなど不要で最後尾のシートに限る!」とのたまう方もいるだろう。安心していただきたい。最後尾シートはベッドとしての使用は想定されていないが、そのまま残されているので、その気になれば最後尾シートで横になることは可能だ。
最前列のいわゆるヲタ席2席はオリジナルのまま残され。2列目は語らいや仕事のためのシートとしてテーブル付きのボックスシートになっているので、活用方法は盛りだくさんだ。
もちろん降車ボタンの操作は可能でリセットボタンも動作するので、何度でも楽しんでいただきたい。さらにLED方向幕と連動した運賃表、自動放送は完全動作なので、各停留所で放送を流せば運賃表は変わる。外から写真を撮影してもいいし、運賃表を撮影しても良い。宿泊施設らしい楽しい幕も用意されている。
マニアの中には中古バスを買ってキャンピング仕様にしてしまう猛者もいるが、このバスは宿泊用のバスのベースとして設計の参考になるのではないだろうか。ないのは水回りだけなので、シンクやトイレ、シャワー設備をどこに設置するかを考えるうえで、実物のバスの中で考えるのは実感以上のイメージになるはずだ。
■帰路もやる事はたくさんある!
チェックアウトは10時だが、その前に近くにある宇久須郵便局に行き風景印を依頼して差し出す。同局の風景印は駿河湾から見た富士山とカーネーションだ。
郵便局員の話によると、母の日にはこの風景印を求めてはるばる宇久須までくる風景印マニアもいるそうで、こう言っては失礼だがこんな地方の郵便局で素敵な風景印が設置されていることにおどろきだ。ぜひとも葉書をバスの中で書いて差し出したい。
復路の快速バスは、「ばすてい」に目の前にある本物の宇久須バス停に停車する。いわゆる旧道なのだが。路線バスは中型車しか来ないのに、特急バスと同じいすゞガーラがやってきた。この道を大型車が走るのは迫力がある。
途中の経路でも「え?ここをターンするの?」「ここに入るの?」と思ってしまうコース設定で、マニアもうなる迫力路線だ。昼頃に三島駅に到着した後も、まだフリーきっぷは有効だ。三島駅から沼津駅まで東海バスに乗り、沼津駅の一つ手前の大手町で下車、城岡神社に参拝してこれまたすぐ近くの沼津駅前郵便局で風景印を依頼して記念の葉書を差し出した。
東京への帰路はマニアらしく、また東海バスが小田急グループだからというわけではないが、沼津かた御殿場線・松田接続・小田急線経由で小田急線新宿まで連絡運輸の乗車券を購入した。御殿場からの小田急ロマンスカーMSEで運行する「特急ふじさん6号」の特急券を取り帰京した。
「ばすてい」は決してマニア向けに作られたわけではないので、家族連れやカップル、グループや5名までの少人数の合宿等で普通に利用可能な宿泊施設である。しかし、どうせ本物のバスを置くならと同社不動産部門がバス部門の関係者(おそらくマニアだと思われる)に聞き取りをして、マニアにも十分に楽しんでもらえる宿泊施設にしたようだ。
よって泊まる人を選ぶわけではなく、宿泊者の「何をしたいか」に応えてくれる宿泊施設だといえる。バスを動かす以外のことはたいていのことはできるので、運転士にならないと決してできないことを思う存分体験して、バス運転士が不足している中で、勢い余って運転士になってしまうのもまたマニアの人生なのかもしてない。
【画像ギャラリー】東海バスの「ばすてい」に泊まると何ができる?マニア向けの正しい利用方法はこれだ!(33枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方