新幹線だけは別の免許区分
電気車は電車や電気機関車を、内燃車は気動車やディーゼル機関車を運転できるが、新幹線となると話は別で、こちらは「新幹線電気車」という別免許になっている。
また新幹線の免許は電気車の上位免許ではないため、新幹線免許を持っていても在来線の電車は運転できない。現実には在来線で経験を積んだ運転士が新幹線に移行するので、甲種電気車はすでに持っている場合がほとんどだろう。
現在では完全に趣味目的でしかない免許
ところで大型二種免許で取得できた鉄道免許のうち、磁気誘導式という免許も取得できたと述べたが、これには第一種と第二種があり、さらに電気車と内燃車に分かれる。大型二種免許で取得できたのは第二種の方で、自動運転ができなくなった際に最寄りの駅や車庫まで手動で運転する、いわば限定区分の免許である。
また該当する車両としては愛知万博での輸送手段だったIMTSがあり、磁気や通信により無人運転や隊列走行ができるバスといったものだが、日本では定期路線として公道運行された例はないので、無軌条電車を含めて現在の日本においては完全に趣味目的であって、実用になる免許は一つもないということになろうか。
船舶の世界は大型・小型は別建て免許
船舶の世界は大型船舶と小型船舶とで資格が分かれており、大型船舶は海技士という資格を取得し海技従事者になる必要がある。海技士の免許証は海技免状という。
大型船は一人で操縦ができないので、ブリッジで航海を担当する船長と航海士としての海技士(航海)、エンジンを担当する機関長や機関士としての海技士(機関)、通信を担当する通信長や通信士としての海技士(通信や電子通信)に区分されている。
海技士の資格に貨物船や旅客船の区分はないが、資格取得には乗船履歴が必要なことから趣味で取得することは困難だろう。
一方で、小型船舶操縦士は一人で操縦できることが前提で、20トン未満の小型船舶を操縦する際には特に遠洋に動力船で航海する場合以外は船長ひとりだけが小型船舶操縦士であれば足りる。
免許の区分としては1級・2級・特殊小型の3区分である。動力を必要としない帆船(ヨット)で太平洋を単独横断できるのは、機関士を乗り込ませる必要がないからだ。
1級は航行区域に制限はなく、2級は海岸から5海里以内という制限があるほかは、限定免許でない限り操縦できる船舶の大きさに変わりはない。海技士でも小型船舶操縦士でも船舶無線局を開設して無線通信を行う場合は、総務省が所管の無線従事者の免許が必要になる。
プレジャーボートの場合は携帯電話が使える範囲内なので、通信設備は絶対条件ではないが、極端な話で太平洋単独横断をするヨットでは必要になる。無線従事者免許証は生涯有効なので更新する必要はない。
小型船舶で主に必要な船舶業務用の無線従事者資格は第一級海上特殊無線技士か第二級海上特殊無線技士で、第二級海上特殊無線技士の上位である第四級海上無線通信士でもよい。プレジャーボートの場合はアマチュア無線でも代用可能だが、いずれにせよ無線従事者の資格は必要だ。
特殊小型はいわゆる水上オートバイのことで、1級や2級とは別建ての免許なので1級を持っていても水上オートバイは操縦できない。大型免許を持っていても自動二輪を運転できないのと同じだ。
また大型船舶の海技士とも別建ての免許なので、大型タンカーやクルーズ船の船長であっても小型のボートや水上オートバイを操縦することはできない。