以前にアルバイトでバス運転士ができるのかという記事を書いたが、バスマガジン本誌読者の反響が大きかったことから、一例として取り上げたフジエクスプレスに実際にバイトで運転士はできるのかどうかについて取材を申し込んだ。本稿は最終回「空車教習の部」である。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
取材協力:フジエクスプレス・富士急行
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■いよいよ空車教習へ!
車内の案内モニターを営業と同じ「田町ルート」に設定して、まずは東京営業所から始発地である田町駅東口に回送する。同路線には入出庫便もあるにはあるが、数は少ない。今回は回送設定で駅に向かう。
駅前は当然ながら混雑している。その中を縫うようにして都営バスのバス停とちぃばすのバス停が混在している。停止位置は前後位置だけではなく、歩道からの距離も指示されるので、それに従う。
ドア扱いをしてサイドブレーキをかけてシフトレンジをニュートラルにする。待っていた乗客が乗り込もうとするので、教官が「練習車なのですいません。次の便までお待ちください」と謝罪する。そして停止位置を確認していると正規のダイヤで営業車が後ろに付けてきたので教習車は出発だ。
ドア扱いをして右ウインカーを出し、フットブレーキを踏んで、サイドブレーキを解除してドライブレンジに入れて、左、右、前方、車内、再度右を確認してから出発する。
■ボタン押して!
すかさず教官が「はい、ボタン押して!」と催促してくる。何のことだろうと思っていると、放送装置のことだった。営業運転を想定している以上は、停留所を出たら次の案内放送を流さなくてはコミュニティバスではすぐに次のバス停に着いてしまうのだ。
こうして、一筆書きで引かれた路線を全停留所に停車しながら、六本木ヒルズまでやってきた。六本木ヒルズの中は、一般車両と多くのタクシー、そして一回り大きな都営バスとお仲間のちぃばす各路線が集結している。
その狭い通路をかき分けながら停留所に付けたのだが、遅延しているちぃばすがやってきたので、すぐに発車してとりあえず、待機場に入る体験を行う。
バス停ではないタクシー乗り場の奥にちぃばすの待機場がある。本来はポンチョ用の駐車スペースだがレインボーでも入るというので、1周回って後退でスペースに入れた。
ちぃばすの運転士は回送で東京営業所に入庫して休憩するほか、こういった途中停留所で車両を別の運転士に引き継ぐ交代も行われている。その際は付近に設けられている待機所(休憩室)で次の乗車便まで待機するのだ。
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