喫煙所が憩いの場所に!
同校ではもちろん禁煙だが、宿舎内の隔離区域と建物外には喫煙所がある。記者は講習終了後に喫煙所で一服をしていたのだが、そこにゾロゾロとやってきたのが訓練生たちだった。
喫煙の是非は置いておいて、知らない者同士でも何となく話ができてしまうのが酒とタバコの席だ。話しかけてみると「さっきハイデッカーに乗ってましたよね?」と興味津々のようだったので、バスマガジンの記者であることを明かして話をすることに。
彼らはバス事業者の社員で、免許取得後に同校に訓練として送り出されたとのことだ。ここで基本的な訓練を積んで、会社に戻り今度は会社の車両でまた訓練、事業者により異なる仕様の機器類の操作や接客方法等を学ぶ。
その後ようやく営業所に配属となるが、そこでは管轄路線別に実際の営業運転と同じ方法でまた訓練を行い、ようやく営業運転に出られるとのこと。乗務まではおよそ半年はかかるようだ。
運転士になった理由は様々
時期的に記者が取材した季節では新卒者はいない様子なので、ほとんどが中途採用組だと思われる。概ね若い方が多かった印象だ。バス運転士になった理由を尋ねてみると理由は様々で、もちろんその中にはバスが大好きという方もいた。
話を聞いているとかなりのマニアな様子で、他社路線を含めてバスや細かい路線や車両の知識はあるようだった。それでも好きで、趣味でバスに向かい合っていたのとは根本的に違うプロドライバーになる緊張感は伝わってきた。全員ではないにしろ、また程度の違いはあるがバス好きがいることは確かだ。
待遇については?
バスに限らず日本のプロドライバー不足は深刻で、ひとつの要因に運転士の待遇が相対的に低いことが指摘される。その点について聞いてみると、それはよく理解している上で「しかし仕事がないよりマシですし、好きなことや、やりがいのある(と思っている)仕事ができるのはいいことだと思います」
続けて「いろいろと軋轢はあるでしょうけど、それを乗り越えてこそのプロだと思いますよ。アレコレ言うのは簡単で勝手ですけどやってみないとわからないですし、やらないと地域の足が失われてしまいますからね」と語ってくれた。
かつては義務感やボランティア精神に依存して待遇が悪かった職種はいくらでもあるが、十分とは言えないまでも向上してきているのは事実だ。バス運転士の世界も40年位前までは地元のバス会社に就職すると地域のエリート扱いだった時代が確かにあった。
当時のまま数十年置き去りにされ相対的に待遇が低下したのは紛れもない事実だが、現在でもこうした抱負を持っている若者がいるうちに社会一般や事業者の理解が進み、構造が改善されプロドライバーの待遇が改善されることを祈るばかりだ。
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