コロナ禍を乗り越えた!? 最も戻り傾向が見えてきた観光流動とバス

■「ウィズコロナ」のニーズをつかんだ事業展開を

 とはいえ、「ウィズコロナ」時代にあって期待できそうな傾向も見えてきている。コロナ禍を経て人々の生活の仕方が変わってきていることは、これまでにも折に触れて述べてきたが、すべてをマイナスに捉える必要はなさそうだ。

 日常生活においては、リモートワークやオンライン販売の普及をはじめ、外出頻度の減少につながる変化があったため、一般路線バスや鉄道のローカル列車についてはおそらく80%ぐらいまで戻ったところでこれ以上は戻らない可能性が高い。

 また、自粛期間中に生活習慣が変化したせいか、朝や日中の人出の戻りに比べて夜の戻りは鈍い。筆者もそうだが、外出に制約がなくなっても“飲み会”の機会は半減以下になり、懇親会的な集まりもなくなったままだ。

 それを反映して、深夜急行バスのほとんどは運休したままで、すでに廃止を決めた路線もあるほか、深夜バスも一部を除き運休を続けている。その半面、違った傾向が見えてきたのが観光・レジャーの動きである。

 2022年10月からの「全国旅行支援」が追い風となって観光地の人出が週末や連休に増えていることは報道でもなされているが、まだ正確な分析まではできないものの、長期・遠方への旅行よりも、比較的手軽に行ける距離の場所を1泊や日帰りで楽しむ傾向が見えてきているようだ。

 また、コロナ禍が去ったわけではないので、不安材料をより少なく、という観点から、いくつもの交通手段を乗り継ぐより目的地直行のニーズが際立っている。そこに横浜~軽井沢・草津温泉線や福岡~長門湯本線の存在意義も見いだせそうだ。

 そしてもう一つの変化は、かつて高速バスが求められたというか評価されたのは安さだったが、もちろんそのニーズがなくなったわけではないものの、サービスや内容に個々人の意味が見いだせれば、それなりの対価は支払う意志があるという傾向が見えてきたことだ。

 「全国旅行支援」の効果もあるのかもしれないが、貸切ツアーバスなどでもむしろ高級感があって内容の充実した価格帯の高いツアーの方が売れる傾向も見えている。つまりお金のかけ方が変わってきたのだともいえる。

 こうしてみると、生活交通と違う高速バスや貸切バスの、これからの営業の視点やビジネスモデルが、「ウィズコロナ」における新しいニーズを分析することでつかめるのではないだろうか。

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