2024年初め(厳密には2023年)からバスマガジン誌上で発表から試乗インプレッションと、徹底紹介してきたトルコ・カルサン社製の電気バス[e-JEST]。アンダー6.0mという全長ながら、街を駆け回る高度な能力を持った最新の電気バスだ。
この e-JESTがついに2024年秋、長野県の伊那市と栃木県の那須塩原市で実稼働デビューを果たした!! この未来的な姿をしたファニーなバスは、いずれの街でも地域の人々に大歓迎され、キリッとした顔つきがさらに誇らしく感じるほどの元気さで出発した!!
(記事の内容は、2024年9月現在のものです)
執筆・写真/バスマガジン編集部 取材協力/アルテック
※2024年9月発売《バスマガジンvol.126》『トルコからの使者っ!!』より
■長野県伊那市の市街地循環バス[イーナちゃんバス]として運行開始っ!!
イーナちゃんバスといえば、市街地循環バスという肩書きながら、伊那バスとJRによるコミュニティバスの第一期生といったイメージがある。それくらい歴史があり、地域に必要とされ、愛されている交通機関だ。何しろ年間利用者は7万6000人を数えるほどだ。
そんな重厚な(?)路線にe-JESTが導入されるとあっては、こりゃ大変なニュースだ。それまで運行していたのは日野ポンチョが3台。このうちJRが担当する1台がe-JESTに交代することになったものだ。
もともとe-JESTはパーツ供給やメンテナンスをJRが行うことになっているため、運用のストレスは無いといえそうだ。
導入の経緯としては、やはり電気バスである利点を生かし“環境に優しく、脱炭素社会の実現に向けた機運の向上につなげていきたい”という伊那市の考えによるものだ。
イーナちゃんバスほどの活躍度、稼働率からも、その効果は大きく期待できるレペルにあると思われる。
■四半世紀の歴史を持つ地域のバスに新しい風をもたらす存在として大歓迎!!
このエキゾチック感満点のe-JESTは、角を優しく落としたクリスタルカットといった感じのライン持つボディデザイン。内燃機バスも含め、これまで日本では見られなかった印象の姿だ。このボディには、ホワイト&ピンクカラーの躍動感溢れるデザインが施された。
このデザインは全国に広く公募され、「環境に配慮した先進的車体にふさわしい洗練されたデザインで、かつ、視認性が高く、バス利用者から広く親しまれるもの」を審査基準として、101点の応募の中から選ばれたヤマシタ タケシ氏によるもの。
この新しいイーナちゃんバスの出発式は、まだ暑い日が続いていた8月19日に行われた。会場となった伊那市役所では、一般利用者にも解放され、訪れた家族連れが興味深そうに乗車して、運行を楽しみにしている様子だった。
このニュー・イーナちゃんバスは統一運賃で1乗車150円(子ども80円)、乗車定員23名(うち座席数12)で運行する。
■那須塩原市の地域バス「ゆーバス」に「ついに電気バスがやって来たぁ〜!!」(渡邉美知太郎 那須塩原市長スピーチより)
那須塩原の地において、2007年から市営バスとして運行が開始された「ゆーバス」。当初はコミュニティバスらしく(?)、日野のポンチョで運用されていたが、人気・ニーズが日々高まり、現在では定員の多い中型バスで運行されている。
温泉地としてばかりでなく、観光やリゾートなど旅行先としても人気の那須において、地元の人々の足として、また外来者の移動手段として活躍を続けているゆーバスが、ついに電化されたというニュースはかなりの衝撃を持って迎えられた。
同市にとって初の電気バスに選ばれたカルサンe-JESTは、アンダー6mというコンパクトな全長でありながら、計算され尽くした車内レイアウトで効率良く“仕事”をこなす実力があることは、これまでの本誌レポートで紹介してきた。
9月1日にJR那須塩原駅前広場で行われた出発式では、渡邉美知太郎市長から環境に対する高い意識が述べられた。排ガスの出ない電気バスは、当地の自然環境を守ることで産業や観光をさらに発展させていきたいという意欲の後押しをするに違いない。
この「電気ゆーバス」を運行するのは、ゆーバス全体の多くを運行しているジャイアールバス関東だ。もともとe-JESTは同社がメンテナンス、パーツ供給などを行う設定で輸入されているため、もっとも安心な事業者によるものといえる。
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